みたら書く

本や映画の感想を書きます

『新・女性学への招待』-性差別はなくなるか

素晴らしい本でした。情報がぎゅっとまとまっていて初心者の私にもわかりやすかったし、関連する本がたくさん載っていたので、これからの道しるべになりそう。

 

この本を読んだのは8月12日だったのですが、つい先日、8月10日に著者の井上輝子さんがなくなっていたそう。ショック。ほかの著書も読んで勉強しよう。

 

〇内容

メモだけですが。

 

田中美津さん ウーマンリブ 団体「闘うおんな」

ウーマンリブのバイブル『女らしさの神話』(邦題『新しい女性の創造』)、『性の政治学

・『新編日本のフェミニズム』『ジェンダー六法』

・家庭科必修、男女共修は1994年から!

・セクハラは学校でも、男子生徒から女性教員へもある

 

「間接差別」とは、女だから男だからという理由で直接的に男女差別をするわけではないが、形式的には性別以外の名目で、事実上女性を差別する仕掛けのことを指す。2006年の均等法改正で、間接差別は禁止されたが、①募集・採用にあたって一定の身長・体重・体力を条件にする場合、で②昇進に当たって、転居を伴う転勤経験を条件とする場合など限られた例示しか示されていない。

まさしく!私が一般職採用をやめるべきと言っている理由。

 

・日本は海外と比べて相対的貧困率が高い。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2010/22pdfhonpen/pdf/column1.pdf

 

・企業の賃金体系、税制、社会保障が性別役割分業を支えている

・女の女装は自己露呈の一環

・1960年代までは普段着は作るものだった。雑誌『an・an』は消費社会の到来、象徴

ホモフォビアミソジニーの克服が21世紀の課題

・買春禁止法では性的サービスを買う側が免責されていると言う不備がある!知らなかった

・AV神話

授かり婚が増えている、経済的に疲弊している地域に多く、学歴が低いほど避妊実行率が低い、児童虐待の温床になりかねない

・明治民法1898年、家制度が体系的に制度化された。戦後民法改正、家制度解体。これにより見合い結婚→恋愛結婚と変化

 

・・・「家」を継承するのではなく・・・強い情緒的なつながりをもつことが重要である。・・・高度経済成長期は、日本で性別役割分業家族がもっとも多かった時代である。恋愛結婚した夫婦にとっては、夫は妻子のためにたくさん稼ぐという性役割、妻は家事・育児でそれに報いるという性役割が、それぞれ相手に対する愛情表現の方法として採用されやすかった。性別役割分業を支える心理的基盤として、恋愛結婚という現像が有効に機能したものと言えるだろう。

 

・日本の歴史上、夫婦同姓が強制されたのは1898年の明治民法~現在までのたかだか100年程度のこと。

 

・専業主婦の増加は950年代後半の高度経済低長期、ピークは1975年、減っていく。

・近代型の性別役割分業はそれ以前と大きく違う。昔は自給持続で、貨幣に換算されていなかった。近代では市場経済貨幣経済が浸透し、企業から給与をもらい、必要な商品を購入して、生活をする。家族で土地を耕し、衣食住を自家製さんしていた時代とは違うのだ、。市場化されない労働=無償労働として家事育児介護が残っている。有償労働者と無償労働者の間には、力の不均衡が生じることになる。「誰が稼いでいると思ってるんだ」このセリフは役割分業が流動的で、男女の賃金格差がなければありえない。

 

フェミニズムは固定的性別役割分業を女性差別の根源とする。

 

・離婚する際に養育費の取り決めをしないことが大半で、認められても金額は少なく、それさえ支払われないケースが多い。

・再婚禁止期間は家制度の名残、欧米諸国、中国、韓国などでは撤廃された。300日規定も不合理。

母体保護法でも医師の認定と配偶者の同意が必要で、刑法では中絶を犯罪とする戦前以来の堕胎罪が残っている。

・ピルの認可は海外よりも遅れ、普及率も低い。ピル解禁を訴えた中ピ連と、避妊の責任を女が背負わされる・製薬会社の「資本の論理」で女性が二重にピルを飲まされる構造になることに反対した新宿リブセンター系

不妊治療の負担は女性が圧倒的。不妊の原因が男性にあっても、病院に通って治療を受けるのは女性。養子や里子は忌避されている。

・職場でマタハラを受け、家族・親族から「仕事を辞めて育児に専念」と言われながら就業を継続することは難しい。(しかし一旦辞めてしまえば同じ条件での復職は難しく、上記の家庭内での経済的弱者になり、DVにあう可能性が高まる?)

・母性愛はヨーロッパ近代とともに成立している、明治に日本に輸入された。それ以前は?『母性愛神話の罠』『近代家族とフェミニズム

・子育て終了期はメジャー・アイデンティティ・クライシスと名付けられた(波田あい子)『女性の不安』

・介護の問題男性が女性をケアする場合ケアする側は「やってあげる」意識、ケアされる側は「申しわけない」と思うことで、ケアする側の一方的な支配が生まれやすい。

・1995年北京で第四回世界女性会議、1999年男女共同参画社会基本法施行、2002年ごろからバックラッシュ、2004年には「ジェンダー」という言葉が入った本が公共施設から撤去されたりもした。

女性差別撤廃委員会から勧告を受けている

女子差別撤廃条約全文 | 内閣府男女共同参画局

 

 

〇感想

すべての女性がフェミニズムの考えを知ってほしい。セクハラや性犯罪、家庭内暴力から身を守る盾になると思う。

 

おしまい。

 

 

活動報告 選択的夫婦別姓について

こんな宣言をしたので、活動報告をしていこうかと。

 

 

活動①選択的夫婦別姓陳情アクションのメンバー登録をしました!

 

 

政治団体ではなくて、「ただ選択的夫婦別姓が実現されて欲しい」と思っている人たちの集まりです。

 

そもそも選択的夫婦別姓ってなに?と疑問を持った方、ぜひこちらのページを読んでみてください。関わるまで考えたことがなかったのですが、たしかに墓問題とか気になる人もいるよねと、自分の視野の狭さに気付いたり。

 

 

こんなQ&Aがのってます。

 

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この活動①の最終目的は、「 選択的夫婦別姓導入のための法改正の実現」です。

 

 

オフィシャルな情報はこちら。

 

 

 

活動②住んでいる地域の、自民党の方向け勉強会に参加しました!

 

 実は①のアクションを起こす前に、勉強会に参加してました。

この勉強会というのは、私が学ぶ場ではなく、「政治家の方が勉強する場」です。自分たちの選挙区に住む市民が何に困っているのか?を直接聞いてもらいました。

勉強会には私を含め7名の市民+①の事務局長の8名で市庁舎を訪問し、自分たちのとてもプライベートな話をしました。(この話をするためにパワポスライドを準備したり、気持ちを整理したりするのも辛かった。嫌なことを思い出したり・・・。)

 

ちなみに一緒に訪問した方々は全員初対面でした。ただ同じ目的のために集まっているということに、この問題に課題意識を持っているのは自分だけではないのだと勇気をもらえました。

 

この活動②の最終目的は、「市議会で国に提出する意見書を出すことを可決してもらう」です。

 

イメージはこんな感じ。実は地元でも、昔住んでいた県でも意見書は出されていました。しらなかった。

 

 

 

わからないことが多い中、自分が動き出せたことが嬉しい。そして、同じように(というかもっともっと時間とエネルギーを使って)動いている先輩たち・仲間と出会えて嬉しい。

 

まだ一歩踏み出しただけなので、ここから色々と世界を広げていければと思います。

 

おしまい。

 

 

おまけ

最近読んでいる本たち。

 

 

女性向けのサービスを作りたいなと思って勉強中。

 

 

めちゃサクサク簡単に読めた。むむ?と引っかかるところもあったけど。

 

上の本で紹介されていたので読み始めてみたけれど、こっちはめちゃ難しいよ〜。

 

 

ライフプランニングの本と合わせて。今30〜50代の女性向け?

女性は、母のようになれ(=良妻賢母)と母のようになるな(=外で働け)という二つのメッセージを、母親から受け取るそうです。

 



 

私の名前を知って/男らしさの終焉/ビリーブ 未来への大逆転

ジェンダー問題関連の本、映画を見続けています。性差別がある社会で差別される側に生きている限り、私はこの問題から逃れられないので、それなら向き合って、少しでも次の世代のために動かなきゃと思っています。

 

 

○私の名前を知って

 

 

スタンフォード大学でのレイプ事件の被害者が書いた本。被害者がどれだけ長い間苦しめられるかがよくわかりました。被害を訴えるにもセカンドレイプに耐えなければならない現状。そんな現状があることを、別の国に住む私も知っています。

 

自責で考えるのは大切なことですが、性被害にあった人に対してそれを求めるのは異常だと思います。

 

社会は女性に無害と危険を区別するという不可能に近い任務を課す。・・・どうしてそんなに世間知らずなんだ。危険を察知できずに気を緩めるなんて・・・

 

レイプ被害女性の手記全文「あなたも、闘うのをやめないでください」

 

 

女性の多くが痴漢された経験があったり、駅ですれ違う人にわざとぶつかられたりした経験があると思います。それを周りの男性に話した時、どんな言葉が返ってくるでしょうか。

 

私は「気のせいじゃないの?」「勘違いでしょ」「ていうかさ、女性専用車両あるのになんで使わないの?」「冤罪怖いわ」という言葉を投げかけられました。

それを言ってきたのは、私と仲の良い男性たちです。私を傷つける意図はなく、本心から出た言葉だったと思っています。この人たちには、この恐怖が見えないのだなとショックを受けました。なぜ目の前の私ではなく、痴漢してきた加害者の側に立つの?そんなこと僕はしないからというアピールなの?

 

セカンドレイプという言葉を大袈裟だと思う人もいるかもしれないけれど、それは想像力がないからでしょう。過激な自己責任論で、レイプされたのは酔っていたあなたが悪いとか、もともと性に奔放なタイプなんでしょう?なんて、問題の本質をすり替えて、本人に押し付けることを、私たちは気付かずにやってしまっているのです。

 

著者のスピーチは素晴らしいものだったので是非見て欲しい。

 

 

 



 

○男らしさの終焉

 

私の中にある男性性に向き合うために読みました。『よかれと思ってやったのに』を読んだ時に、私は男性に迎合しようとするあまり、違和感を持ちながら男性的な思考回路になっていたことに気付きました。改めていきたい。

 

ただ、翻訳がイマイチで読みにくかった…

 

ソーシャルワークの研究者であるブレネー・ブラウンはTEDで「傷つく心の力」という素晴らしいトークを行った。・・・最も充実した人間関係を築いているのは、心が傷つくリスクを冒し、自分の弱さと失敗、つまり自分の弱さの根底にあるものをさらけ出せる人だ・・・

 

最近私の関心が向いてるところにすごく合うテーマでした。理想の自分と現実に乖離があることの恥ずかしさ、それを認められずに演じるぎこちない苦しみ。マッチョな男性に特に見られる傾向のようにこの本には書いてありましたが、いやいや、私のことだと思いました。

 

 

ここのところ、私は女性で男性と比べて生きづらい、相対的弱者だけれど、トランスではなくシスジェンダーの生きやすさを享受しているし、学歴社会・資本主義の中では圧倒的に強者だということに、もっと自覚的でないといけないと思います。

病気もない、また介護する人もいない、身体的な虐待も受けてきていない。これはそうでない人に比べて恵まれているということです。

 

フェミニズムを学ぶとどんどんと格差が目に入ってきて苦しい。でもそれを知るからこそ気遣いができるようになる、ならなければいけないと思っています。

 

 

男らしさの終焉

 



○ビリーブ 未来への大逆転(映画)

 

Amazon primeで見ました。性差別のある法律を変えていった女性弁護士の話。とってもよかった。

 

親の介護費を男性は税控除できない、という法律が違憲だとして訴え、さらにその他多くの性差別的な法律の改正を目指すストーリーです。

 

模擬裁判中、主人公の女性弁護士がうまく議論できない場面があります。このシーンがとてもいい。

税控除ではなく、そもそも根本の女性差別が気に入らないんだろう?といった煽りを受けて、まんまとカッとなってしまう。そんなことを本番の裁判でしたら不利になってしまいます。そして模擬裁判をしてくれた知人や夫に叱られてしまいます。

 

これは自分の要望を通す時に最も重要なことを描いた場面だと思いました。

今私が実現したいのはこのテーマ、そもそもの男女平等に広げる必要はなく、まず目の前のこのテーマを実現するのだと意識する。ただそのために動く。

個別のテーマの変革を積み重ねた結果、大きな目標である男女平等が実現すればいい。

 

 

 

最近、選択的夫婦別姓の実現のために、地方自治体から国へ意見書を出そうという活動に参加しています。これも現在の民法を変えようとするものです。

この映画のようにスパーン!と決まるものではないけれど、同じような問題だよなあと映画を見ながら感じました。

 

民法750条】夫婦の氏

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

 

 

 

 

ジェンダー問題にきちんと向き合うと疲弊しますが、逃げるよりよっぽどマシと思って引き続き活動します。

 

おしまい。

 

 

『マンガでわかる最強の株入門』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌Zaiが作った「株」入門』-セルフ年末調整調整

昨年12月に書いた下書きがあったので投稿。

 

元々やっていた投資信託の信託手数料が割高だったため、先日解約し現金が30万円程手元に出来ました。(ちなみに月1万円×28ヶ月が30.4万円になりました。嬉しい。)

 これを原資に初めての株式投資をやってみたいということで勉強しました。

ついでに自分の資産構成も整理しました。

 

『マンガでわかる最強の株入門』

○内容

 

超入門という感じでわかりやすかったです。

 

・儲け方3種類

①値上がり益、②配当、③株主優待

株主優待にはあまり興味がないので無視(優待でもらえるものより、増えたお金で欲しいものを選んで買えばいいと思う)。配当も見込まず、とにかく①が大事でしょうと思いました。

 

・注文方法

①成行注文・・・好きなタイミングで売る。売買が成立しやすい。

指値注文・・・指定した金額まで上がった時に自動的に売る。

③逆指値注文・・・指定した金額まで下がった時に自動的に売る。

これは短期向けの方法なのかな・・・あまりよくわからず。

 

 

・分析方法

以前こちらの本で読んだ、長期と短期の話で説明がありました。

重複するところもあったけど、忘れていたので復習になった。

 

①ファンダメンタルズ分析

企業の業績をみる方法。決算短信を読むとか。簿記ちょっと勉強したけど、それにしたってよくわからないので苦手意識がありますが・・・

 

 

テクニカル分析

短期向けなのであんまり気にしない。

 

 

・チャートの読み方

短期向けと思ったので斜め読み。

 

 

 

『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌Zaiが作った「株」入門』

 

 

 

 

○感想

 今回の原資30万円で何を買おうか迷います。勉強したこと+もう少し年末に本を読んで、最後は勢いで株式買っちゃおう。

 

基本的にあまり株価で一喜一憂するとか、張り付いて売買するようなことはしたくない(できない)ので、長期保有のことを勉強したいなー。

 

○資産構成

 

自分の資産構成を確認すると、「現預金45%:株:54%:投資信託1%」でした。

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みたら書くのポートフォリオ

 

若いしまだまだ現預金比率を下げていいのかもしれません。(参考:

投資における現金比率の目安はどれぐらい? - たぱぞうの米国株投資

 

投資信託は最近現金化したので比率が非常に低い。まあこれから毎月積み立てていくのであまり気にしない。

 

ちなみに今までやっていた投資信託は、

購入時手数料:0%

信託報酬:年0.57%

信託財産留保額0.1%

というものでした。

これを解約し、

保険は掛け捨てタイプで、1年間で3万円のものなのですが、そろそろ見直すかなーとも思う。健康なうちに。

 

年末は時間があるので、いい機会と思って毎年ポートフォリオ見直したいですね。

 

おしまい。

 

プライシングとは?-『成果報酬型セールスマネジメント』

昨年から営業支援的な部署にいるので、最近はそういった本を読むようにしています。

 

今回はセールスマネジメントの中でも、特にプライシングの勉強をしたくて読んだ本です。

簡潔にわかりやすくまとめてありました。

 

○内容

 

日本企業において感じられるのは「良いモノを提供すればおのずと売れる」という姿勢である。・・・認知度を上げること、営業力を強化すること、価格を変更することも必要になる。

 

セールスマネジメントとは、「企業が短中期的に売上を上げるための全体戦略、及びその実行」と定義できる。

 

ビジネスデューディリジェンス(ざっくりいうと企業情報の調査)は、M&Aや投資プロセスの一環として行われていることが一般的である。セールスマネジメントのためのビジネスDDでは、商品・顧客・営業担当者の軸の掛け合わせで行う現状と現実的かつ短期的にめざせる姿とのギャップを可視化し、それを埋める方向性を示唆する。

 

単なる価格競争に陥らないよう価値提供していきましょう、というのが最近のトレンドであるように感じますが、この考え方もまさしく「良いものを作れば自ずと売れる」思考に見えます。

適切な値決めは、①売上拡大、②シェア拡大、③ブランドの確立、④投資の早期回収の4つのメリットが見込まれます。

プライシングの前提として自社のビジネスモデルを理解する必要があります。また、BtoCかBtoBか、商品は定形か非定型かも考慮すること。その上でコスト・プラス法や市場価格追随法、名声価格法等の手法を使います。(P.67表3-5)

 

契約形態も適切なものを決めること。本体+オプションとするとか、販売量により単価を変えるとか、リースにするかサブスクにするか、等々。

 

 

○感想

 

こういう戦略は短期間で現状分析・戦略立案までガッと集中してやった方が良さそうだなと思いました。だからコンサル入れてテコ入れ、みたいなイメージがあるんだろうな。

 

私の会社がやろうとしていることはなんなのかが理解できました。この本の視点を持って今後さらに仕事がんばろう。

 

おしまい。

 

 

 

 

『ざっくり分かるファイナンス』

もっと早く読めばよかった〜!と思うと同時に、この1年やってきた仕事があるからとっつきやすく読めたのかな〜とも思う本でした。

 

昨年からよくわからないままに簿記の勉強をしたり、仕事でフリーキャッシュフローを計算したりしていたのですが、それがうまく繋げられました。こういう知識が勉強によって繋がっていくの嬉しい。

 

 

○内容

 

・1章 前提の会計の話

 

ファイナンス(財務)と会計の違い。未来の投資回収まで考えるのがファイナンス、現地点での売上・利益・残高等を示すのが会計(そして簿記とリンクされやすい、実際はごく一部しか示さないのに)。

 

まず会計には2種類あります。財務会計という対外的なものと、管理会計という内部管理のもの。

 

財務三表①貸借対照表(BS、バランスシート)

左に資産、右に負債と資本がある表のこと。ある一地点の調達と運用の状況を示すものです。この辺は簿記のことなので割愛。

資金調達には銀行借入、社債、株主出資(資本金)の3つがあります。前の2つは有利子負債、株主出資は無利子負債。しかし配当金等は必要。「資金調達=企業へ投資してもらう」ということ。

 

財務三表②損益計算書(PL、Profit and Loss statement)

例えば6月のBSと12月の貸借対照表の変化内容を示すのが損益計算書です。売上総利益、営業利益、経常利益、税引前/後当期利益が分かります。(海外には経常利益の考え方はないらしい!)

 

財務三表③キャッシュフロー(CF)

企業の活動でどれだけキャッシュが動いたかを示すものです。営業CF・投資CF・財務CFがあります。通常の企業活動では、営業CFがプラス(儲けている状態)、投資CFはマイナス(設備や商品に先行投資している状態)、財務CFは営業CF・投資CFを足して、マイナスの場合(つまり投資が営業活動でまだ回収できていない状態)となる場合、プラス(どこかから資金調達し負債を持つ状態)になります。

ちなみにフリーキャッシュフローは営業CF・投資CFのみを足したもの。

 

債権者は安定性を、株主は成長を重視する。それはなぜか。

債権は事前に利息を決めてあり、株主よりも優先的にそれを得られるが、株主は企業が成長し売り上げを出さないとリターンを得られないから。そして株主の代表である経営者は、企業を成長させる責任がある。

 

 

・2章

企業価値の最大化」とは誰のための価値か?

リスクをとっても大きなリターンがあれば良い。リスクは危険なだけではない。

 

利益を上げること(ROICを上げること)も重要だが、日本の経営者はそこに固執しすぎているのではないか。資金調達コストを下げる(WACCを下がる)ことも重要で、EVAスプレッド(ROICとWACCの差)を広げることが大切。

 

 

 

・3章

現在価値と将来価値を考える。

将来の100万円より今の100万円の方が価値がある、リスクを割引率とする。

 

 

・4章

企業価値を大きくするには2つの視点で見る必要がある。

 

企業価値=債権者価値+株主価値

企業価値=事業価値+非事業価値

 

ある投資に対して、上がる利益を正確に表すために、キャッシュフローで示すべき。減価償却を含めて利益を計算すると、キャッシュとあわなくなる。

 

*ワードメモ

期待収益率

リスクフリーレート

リスクプレミアム

永久債と成長永久債

 

 

○感想

簿記を勉強していた去年、「闇雲に、目的もなく資格勉強したって意味がないんじゃないか・・・しかも試験落ちたし・・・」と思っていました。でも違った、ただまず勉強してみるということに意味があったということがわかりました。とても嬉しい。

とにかく勉強したということが、この本の理解を深くしたし。

 

 

おしまい。

 

 

 

 

『シン・ニホン』-未来に向かって進む

 

尊敬する先輩がお薦めしていたので読みました。前半いまいちハマりきれず、後半からは一気に楽しくなった。このパターンよくあります。

 

○おもしろかったところメモ

つまり、・・・大半の人がリベラルアーツ教育の基礎となる三学(文法学、論理学、修辞学)を身につけていないのだ。・・・日本における母国語教育とは、慮り、空気を読む能力、社会に出たときに丸く角が立たず生きる力を鍛える場であり、本来的な意味の基礎となるコミニケーションスキル・思考能力を鍛える場になっていない。

 

ダーウィンが言ったように、生き残るのはもっとも強い種ではなく、もっとも変化に対応できる種だ。そして一番良いのは、未来を自ら生み出すことだ。振り回されるぐらいなら振り回したほうが楽しいに決まっている。

 

未来は目指すものであり、創るものだ。

 

 

 

○まとめ

 

日本の情報教育はどうあるべきか、義務教育レベルから大学まで、具体的な策が示されます。エンジニアとなり得る母数を増やすことがまず重要です。

 

また、日本の大学には、海外と比べ十分な予算が割り当てられていないことがデータから示されます。その状況では博士課程に進む人も少なく、結果として世界が次に目指すデータ×AIの時代に必要な人材が確保できません。国家予算を割り当てるべきですが、必要な費用は社会保障費と比べて微々たるものです。

 

 

○感想

 

『トヨトミの野望』でも、イニシアチブを取るとか、デジュールスタンダードを制することが、企業の競争力を高めるとされていました。データ×AIの分野で(というかどの分野でも、日本はいつも後発)、出遅れた日本はどうすれば良いのかが示してある本でした。

 

 

ググったらスライドが出てきた。著者が講演で使ったっぽい。YouTube聴きながら見ようかな。

 

https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2017/inv2017_04_02.pdf

 

 

おしまい。