私の名前を知って/男らしさの終焉/ビリーブ 未来への大逆転
ジェンダー問題関連の本、映画を見続けています。性差別がある社会で差別される側に生きている限り、私はこの問題から逃れられないので、それなら向き合って、少しでも次の世代のために動かなきゃと思っています。
○私の名前を知って
スタンフォード大学でのレイプ事件の被害者が書いた本。被害者がどれだけ長い間苦しめられるかがよくわかりました。被害を訴えるにもセカンドレイプに耐えなければならない現状。そんな現状があることを、別の国に住む私も知っています。
自責で考えるのは大切なことですが、性被害にあった人に対してそれを求めるのは異常だと思います。
社会は女性に無害と危険を区別するという不可能に近い任務を課す。・・・どうしてそんなに世間知らずなんだ。危険を察知できずに気を緩めるなんて・・・
レイプ被害女性の手記全文「あなたも、闘うのをやめないでください」
女性の多くが痴漢された経験があったり、駅ですれ違う人にわざとぶつかられたりした経験があると思います。それを周りの男性に話した時、どんな言葉が返ってくるでしょうか。
私は「気のせいじゃないの?」「勘違いでしょ」「ていうかさ、女性専用車両あるのになんで使わないの?」「冤罪怖いわ」という言葉を投げかけられました。
それを言ってきたのは、私と仲の良い男性たちです。私を傷つける意図はなく、本心から出た言葉だったと思っています。この人たちには、この恐怖が見えないのだなとショックを受けました。なぜ目の前の私ではなく、痴漢してきた加害者の側に立つの?そんなこと僕はしないからというアピールなの?
セカンドレイプという言葉を大袈裟だと思う人もいるかもしれないけれど、それは想像力がないからでしょう。過激な自己責任論で、レイプされたのは酔っていたあなたが悪いとか、もともと性に奔放なタイプなんでしょう?なんて、問題の本質をすり替えて、本人に押し付けることを、私たちは気付かずにやってしまっているのです。
著者のスピーチは素晴らしいものだったので是非見て欲しい。
○男らしさの終焉
私の中にある男性性に向き合うために読みました。『よかれと思ってやったのに』を読んだ時に、私は男性に迎合しようとするあまり、違和感を持ちながら男性的な思考回路になっていたことに気付きました。改めていきたい。
ただ、翻訳がイマイチで読みにくかった…
ソーシャルワークの研究者であるブレネー・ブラウンはTEDで「傷つく心の力」という素晴らしいトークを行った。・・・最も充実した人間関係を築いているのは、心が傷つくリスクを冒し、自分の弱さと失敗、つまり自分の弱さの根底にあるものをさらけ出せる人だ・・・
最近私の関心が向いてるところにすごく合うテーマでした。理想の自分と現実に乖離があることの恥ずかしさ、それを認められずに演じるぎこちない苦しみ。マッチョな男性に特に見られる傾向のようにこの本には書いてありましたが、いやいや、私のことだと思いました。
ここのところ、私は女性で男性と比べて生きづらい、相対的弱者だけれど、トランスではなくシスジェンダーの生きやすさを享受しているし、学歴社会・資本主義の中では圧倒的に強者だということに、もっと自覚的でないといけないと思います。
病気もない、また介護する人もいない、身体的な虐待も受けてきていない。これはそうでない人に比べて恵まれているということです。
フェミニズムを学ぶとどんどんと格差が目に入ってきて苦しい。でもそれを知るからこそ気遣いができるようになる、ならなければいけないと思っています。
○ビリーブ 未来への大逆転(映画)
Amazon primeで見ました。性差別のある法律を変えていった女性弁護士の話。とってもよかった。
親の介護費を男性は税控除できない、という法律が違憲だとして訴え、さらにその他多くの性差別的な法律の改正を目指すストーリーです。
模擬裁判中、主人公の女性弁護士がうまく議論できない場面があります。このシーンがとてもいい。
税控除ではなく、そもそも根本の女性差別が気に入らないんだろう?といった煽りを受けて、まんまとカッとなってしまう。そんなことを本番の裁判でしたら不利になってしまいます。そして模擬裁判をしてくれた知人や夫に叱られてしまいます。
これは自分の要望を通す時に最も重要なことを描いた場面だと思いました。
今私が実現したいのはこのテーマ、そもそもの男女平等に広げる必要はなく、まず目の前のこのテーマを実現するのだと意識する。ただそのために動く。
個別のテーマの変革を積み重ねた結果、大きな目標である男女平等が実現すればいい。
最近、選択的夫婦別姓の実現のために、地方自治体から国へ意見書を出そうという活動に参加しています。これも現在の民法を変えようとするものです。
この映画のようにスパーン!と決まるものではないけれど、同じような問題だよなあと映画を見ながら感じました。
【民法750条】夫婦の氏
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
ジェンダー問題にきちんと向き合うと疲弊しますが、逃げるよりよっぽどマシと思って引き続き活動します。
おしまい。