みたら書く

本や映画の感想を書きます

キャリア棚卸し 出産前編

2022年は、昇格試験を受けたり、妊娠したり、初めての海外出張に行ったり、海外駐在の打診をもらったり、と色々な出来事があった。この一つ一つをきっかけに自分のキャリアに対する考え方がどんどん変わってきたので備忘録として残しておく。

今のキャリア観を残しておくことで、妊娠後の今めちゃくちゃ言われてる「産後考え方変わるからね」が本当なのか、自分がどれほどが変わるのか確かめたい。

 

●キャリアの軸ができた

今強く持っている想いは2つ。管理職になりたい。海外駐在したい。

 

今の会社に新卒入社した時から、管理職を目指したいとは思っていた。女性の管理職が増えたほうがいいと思っていたし、自分自身が管理職になれば発言権が増し、女性差別を減らせるかもと考えていたから。

2022年、昇格試験受験資格を得て、上司の打診もあり試験にチャレンジした。周りからは早すぎると言われたし、自信もなかったけれど、断る理由にはならなかった。結果は最終選考で落ちた。実力不足、実績不足、経験不足が理由。残念だったけれど、結果には納得しているし、指摘された点を改善していくだけだと今後の行動を明確にできた。その行動とは、本部レベルの目標・課題を理解して、組織横断でリーダーとして仕事を進めていき、誰もが認める目立つ実績を作り上げること。その行動をする中で、本部・部門のリーダーたちの視点を、求めるものを理解できるようになっていきたい。今はそれをやり遂げた経験・実績がないし、やれる実力がない。だから落選は妥当だ。

ただ、この試験を受けさせてもらえたことや、予備試験や本試験を受ける過程で指導してもらったり、応援してもらえたことは勉強になったし、なによりも今の会社は若い女性にもチャレンジできる場所なのだと感じられて嬉しかった。試験の前に「女の子だから今受かりやすいよ」なんて言われたりしたけど、そんなこというやつは大抵レベルが低くて視野に入れても仕方ないと思えるようになってきたし。分別のある、自分にとってその発言が損だとわかる若い賢い人はそんな失言しない。実際今下駄をはかせてもらえるタイミングだったとしても、これまで散々家庭のことは女性におんぶにだっこの高下駄を履いた男性と同じ土俵で戦うなら、結局そんなに有利にならないとも思っている。

 

この試験と並行して、海外出張に行かせてもらった。集まってきたのは、ヨーロッパ・アジア・北南米にある海外支店のメンバーたち。留学経験もない私には、海外に長くいることも、英語で話すことも大変だったけど、めちゃくちゃ刺激的だった。英語力の無さをカバーするためとにかくビビらず自分から周りに絡みに行き、笑顔で明るく楽しい人を演出した。日本から一緒に行ったメンバーがなかなか積極的にならず、おとなしくしているのを横目に、一生懸命やってたからか、女の子だったからか、女の先輩たちがすごく良くしてくれたのが嬉しかった。40代以上の技術系女性マネージャーというのは日本にいないから、新しいロールモデルも得られた。当たり前に女性技術者がたくさんいる安心感。夢見ていた桃源郷が本当にあったんだなという感じだった。

講師をしていた現地社員が冗談混じりに「こんなことも知らないの?」と言った時に、「知らないよ!だからここに来て学んでるんじゃない」とこたえていて、このセリフはいいな、覚えていようと思った。文化が違うのもあると思うけど、現地の仕事は属人化せずシステム化されていた。普段スキルフルなおじいちゃんたちと仕事してたから新鮮だし、これを日本でもやれるようにしたいなと思った。(思っただけかもしれない)

 

実は2022年の初めから英会話とTOEICの勉強をはじめていた。このまま日本にいても、ジェンダー的にも経済的にもやばいしな…と思ってのことだった。勉強し始めるとテンションが上がり、また夫から提案してもらって、上司に本社である海外研修に参加できないかと聞いたのが、この出張するチャンスを得るきっかけだった。夫にはいつも刺激をもらうし背中を押してもらっていてありがたい。仕事が忙しくなってきても、妊娠発覚後も(つわり中は無理だったけど)英語の勉強は続けている。ビジネスの現場で、普通に話せるレベルを目指してがんばっている。産後、生活のペースが見えてきたら中国語も勉強したいけど、どうなるかなあ。

 

研修から帰ってきて、海外部門の方と話すことが増え、自分自身の気持ちもより前向きになっていった。海外絡みの仕事がしたい、駐在なんかもありでは、なんて欲も出てきて、社内で情報収集したり。その頃、妊娠が発覚した。昇格試験に落ちたばかりなのに、それに集中するよう減らしてもらっていた仕事が徐々に戻ってきて、頑張らなきゃいけない時期だったのに気楽なもんだなと自分に対して思った。すぐつわりが始まった、というか発覚前に吐いてて、なんで?となっていた。

予定していた出張のいくつかは頑張って行ったけどどんどんしんどくなり、上司に妊娠のことを伝えて中止してもらった。ありがたいけど情けない。パソコンでやる仕事も気持ち悪くなって、頭も回らず気力も出ず全然さばけない。なんで役立たずなんだ、この無能が、そう思うなら言い訳せず頑張れよ、と自分の中で悶々として泣く。任されてもできないから仕事を受けられないけど、期待されないことに悲しくなってまた泣く。夫には理不尽に当たって怒って泣く。また初期は流産の可能性が低くないらしく、ずっと不安を抱えていた。みんな乗り越えてきたといっても自分にとっては自分の経験が全て、つらいもんはつらかった。

安定期に入る少し前に、駐在の打診があった。妊娠していることを伝えて話は立ち消えになった。チャンスを逃した、でも今年妊娠を望んだのは自分、でもせっかくここまで昇進や海外駐在といったキャリアアップの流れを作ってきたのにどうして今…とぐるぐる考えて泣いた。別に昔々から海外駐在を志向していたわけではないし、最近思うようになっただけでしょうと思われるかもしれないけど、だとしても目の前に来たチャンスを逃して悔しくないわけがない。

 

今は気持ちを整理して、実力の無い今行くよりも、復帰後実力をつけてからの方が最大限機会を活かせる、活躍できるだろうと思うようにしている。子供を連れて行けたら、子供に海外生活を経験させてあげることもできる。もし今妊娠せず駐在していたら、妊娠のタイミングを逃していたかもしれない。だから今、妊娠して、駐在の話が消えても仕方なかったのだと思うようにしている。今はただ、これでよかったのだと思い込む。そして今後その言葉を本物にするべく行動するだけ。

 

そもそも、日本がやばいとか、ちょっと海外出張行っただけでなぜ駐在まで考えるようになったのか整理する。

(1)会社がグローバル化してる

思いっきり保守なJTCだったけど、ここ数年でめきめきとM&Aやら海外投資やらして売上比率も従業員比率も変わってきている。今の会社で経営層を目指すなら、海外経験は必須だと思う。

技術に関しても、日本で革新的なことが起こる気がしないから、海外から導入していく方に傾いていくのではないかな。日本経済の成長とともに積み上げてきた過去の技術はたくさんあるから、それらはキチンと身に着け、外に持っていけるようにしつつ、これから生まれる新たな技術は海外発になる気がするので、それも吸収していきたい。

 

(2)日本経済の衰退、市場縮小

日本の経済発展とともに、私の勤め先は発展してきた。でもこの経済発展はもう頭打ち。内需が伸びないなら外の市場を取りに行くしかない。国内売上比率は下がっていくだろうし、そうすると日本本社にいて海外事業に関わる方が将来性があるように思う。これは今の勤め先だけじゃなく、内需に頼る日本企業全体に言えることかな…。日本もまだまだ、と言える分野も多いとは思うけれど、そうでなくなる産業も多いのだから、海外企業関係の仕事に関われるようになっておいた方が、景気も良くて面白いと思う。

 

(3)日本の家父長制

日本以外なら理想の暮らしができると夢想しているだけだけど、それを確かめる意味でも実際に海外で暮らしてみたい。

女性の管理職、役員、技術者が少なく、家事育児の負担は女性にかかり、痴漢といえば冤罪と言われ、きれいにして優しく笑顔でいて当然、別に無理して働かなくていいじゃないと軽視される環境がつらい。この環境で娘を産み育てるのは不安だから日本から出たい。

 

(4)子供に経験をあげたい

一つの環境しか知らずに育つよりも、どれだけ世界は広いのか、選択肢があるのかを若くから知っていた方がいいと思っている。私自身が大学に行かせてもらえてたくさんの人に出会えて、東京に出てきてさらに視界が広くなってと大人になるほど息がしやすくなっていっている。海外で多様な人たちの中で暮らせば、縛られなくてもいいのだと気付けると思う。まあ子供の年齢にもよるけど。

 

そして改めて、なんで管理職を目指したいのかも整理しておく。根本はただの野心なんだけど、それだとエネルギーが続かない気がする。何者になりたいかではなくて、地位を手に入れて何がしたいか。

(1)女性管理職を増やす、後輩の道

いつもいつも感じる、女性の先輩たちが作ってくれた道があるから、私は今こうしていられるのだということ。男性と同じ職種で採用され、寿退社はしないでいいし、管理職も目指せるし、産休を取れて、保育園の数はかなり充実してきているし・・・。私が管理職になることで、今の会社でもっと女性の道を広げたい。

 

(2)組織作りがしたい

会社で発言権をもって人を動かしていくのに、職位は必要だ。この数年間でも、どんどん組織体制は変わってきている。世の中の動きと連動しているのだろうけれど、マーケティングとかデジタルとか、本業を拡大するための部隊ができてきたり、本業も市場別になってみたり技能別になってみたり。上位者の思惑によって変わる組織を、自分が作る側になりたい。自分のやりたいことを実現するための組織作りは楽しそう。

 

(3)技術×営業を突き詰めたい

担当者として技術を身につけても、営業活動しても、スケールが小さくなったり上位者が動いてくれなかったりする。動かせないのは自分の担当者としての力不足なのだけど…

 

ここまで書いてみたけど、やっぱり管理職になって何がしたい?が薄すぎる。だから落ちるんだなと再認識…ふわっとした夢じゃなく具体的な将来像を描くのが課題だな…。

 

2025年に昇格試験合格、2030年までに第二子、2035年までに海外駐在が達成できたらいいなあ。日々の仕事で成果を出しつつ、チャンスを掴みに行きつつ、スキルアップしてチャンスを最大限活かせる準備をする。がんばろう。

 

おしまい。