みたら書く

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本『トヨトミの野望』-熱量を行動に変える

 

4年前に出版されたものをいまさらですが読みました。めちゃくちゃ面白かった!

 

○内容

 

トヨタ自動車をモデルにした小説。

どこまでが事実で、どこからフィクションなのか分かりませんが、そこも想像しながら読むと面白い。

 

※モデルとされた人一覧はこちら

 

前半はサラリーマン社長、武田剛平(モデルは奥田碩氏)、後半は創業一家の豊臣統一(モデルは豊田章男氏)が社長として、どんな活躍をしたのか、その背景には何があったのかが描かれます。 

 

武田の社長就任は1995年。28年ぶりに創業家以外から就任し、その後4年で大改革を起こします。ハイブリットカー「プリウストップダウンによる判断で発売したり(世界で一番先に出すことに意味があった)、F1へ参戦したり、ダイハツの子会社化や、役員19名のうち17名を総入れ替え等。

 

宗教のような会社と資本主義の流れ、民間企業と国の繁栄、財閥との政治結婚、叩き上げと二世、子会社化、海外展開では政府を押さえる、中国のプライド、国益に敏感で狡猾な米国。海外育ちのエリートや創業一家ということで実力を軽視される息子等、ドラマチックな舞台に、生々しい人の感情が描かれていて、まさに「事実は小説より奇なり」。

 

出てくる人物たちがみんな強い。個性もだし、しごとや会社に対する熱意、執着が強い。

経理から海外に飛ばされるが返り咲く元社長(武田剛平)、強力な支配力を持ち統一の父である元会長(豊臣新太郎)、創業一家の血を引くことが強みとなり足枷となる現社長(豊臣統一)、色男で問題を起こしがちだが腕前は抜群のロビイスト(堤雅也)。。。

 

そして社内の様子には日本企業らしさがたくさん見える。天下りの社員がいることや、自工と自販の合併後本流の自工は傍流の自販出身を蔑んだり、“器じゃない”役員がいたり。現場の人間は、昔の社員はもっと現場に来ていたのに今は・・・と言う。これは今の私の勤め先の先輩たちの言うことと似ている。「エンコを詰めた作業員は、これでまた一つ安全装置ができると喜んだ」とか。

 

 随所に女(あえて女性とは書かない)が出てくるのもいい。美人局にやられるマヌケや、若い女好きのやり手。苦労をかけつづけの妻、上流階級の創業一家の嫁。

 

私たちはエンジニアだ、ものづくりの会社なんだ、金儲けのために株を動かしたりしない。社員の雇用は守る!と言いながら、期間工は蚊帳の外というジレンマには、規模の差はあれ日本の企業、同じような問題を抱えていることがわかりますね。

 

辛かったセリフ。

「このまま管理職として朽ち果てていく己の姿が見えるようだ。」

45歳の記者の思いが綴られていました。武田はその頃まだ左遷されマニラにいて、そこから這い上がる強さを持っていたことを思いだし愕然とします。

 

 

 

○感想

 

ひたすらかっこいい。修羅場を超え、辛酸を舐め、自力で登りつめたサラリーマン社長。

なにをやっても実力ではないと言われる創業家の息子の歯痒さもいい。

 

小説のなかで出てくる感情は、屈辱、自己嫌悪、怒り、惨め、悔しい、冷徹、憎悪、、、こういう感情を、熱量を行動に変えられる人がいるから、トヨタは企業として発展したのかなあなんて思いました。

  

あとはやっぱり、自分の中には、社会より家庭、会社より自分を優先する考えしかないんじゃないかと改めて思わされました。つらい。

自己犠牲の精神がない、というよりも、自分が組織に貢献する意識が低いんだろうなあ。エゴしかない、恥ずかしいことです。

 

 

 

まぁ平々凡々な若手としては、巨大企業のトップたちのドラマに憧れつつも、地道に自分のやることをやるしかないなという気分になりました。いややれることは最大限やるけど。

 

今のコロナショックで、勤め先はどう変わるんだろうか。

 

外的

・顧客の予算縮小、計画の延期

・資材調達の遅れ→原料、購入品のコストアップ

・多くの客先に対する売り上げ減(紙や通信関係等は増える?)

・一度停止した設備の再稼働で売り上げ増?

 

 

内的

・テレワークが進む→固定費減

・人材縮小(新卒中途の採用人数減、派遣・契約スタッフ減)

・海外事業会社の売り上げ減

 

 

・・・ぜんぜんわからん。

 

 

○やること

 

 

テキトーな予測をしてしまった。経済誌の予測でも読もう。

リーマンショックの時どうだったのか、社史を読んでみようかな。

 

あとはこの本の続編読みます。

 

 

おしまい。

 

 

トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

  • 作者:梶山 三郎
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 単行本
 

 

 

トヨトミの逆襲: 小説・巨大自動車企業

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