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本『輝く社会のための女性活躍推進ハンドブック』

 

新卒採用に関わるなかで、知識が全然足りないなあと思ったので読みました。自分が大学生だった頃を思い出してみたり。

 

◯著者

清水レナ

株式会社CHANCE for ONE代表取締役社長

立命館大学経済学部卒業後、(株)リクルートコスモスに入社し経営トップの秘書として従事。2002年マンパワー・ジャパン(株)に移りキャリアコンサルタントとして人材マッチングに従事。その後、(株)コーチ・エィにてビジネスコーチとしてビジネスリーダー、マネジメントへのコーチング、企業研修に従事。2010年個人事務所設立を経て、2012年(株)CHANCE for ONEを設立し代表取締役社長就任。

www.chanceforone.jp

 

 

 

◯内容

 

①なぜいま女性活躍推進なのか?

 

2014年、安倍首相が経団連に女性管理職・役員の登用を増やすよう要請、経団連会員企業の女性活躍推進に対する自主計画が続々と発表されました。また、同年女性活躍推進法が制定されました

その背景には、労働人口の減少があります。少子高齢化が進み、労働人口に対する高齢者の割合が増えれば、税金や社会保険料の負担が増えます。ではどうするか、未就労の女性の活用により労働人口を増やそう、という流れがあります。

 

そこで「2030」、2020年までに女性管理職の比率30%まで高めようという目標を、内閣府が掲げました。(※2019年度の結果を調べてみたけれど、平均7.7%と未達ですが。)

単純に労働人口を増やすだけであれば、管理職・役員登用は不要と考えられるかもしれませんがそうではありません。

 

女性の役員を増やすためには?

女性の管理職を増やし育てる。そのためには?

※中途人材は市場に少ないため競争率が高くコスト大。

女性の総合職を増やし育てる。そのためには?

女性の正社員を増やし育てる。そのためには?

女性の採用人数を増やす。また、非正規雇用を正社員に引き上げる、退職した女性を再雇用する等。

 

女性役員・管理職の人数を増やすことが義務化されると、多くの企業がこのように動き、その結果女性の総労働人口が増えるという考えです。

 

(どの会社も女性管理職比率を上げなければならなくなると、中途人材のコストが上がるというのが面白かったです。私の勤め先の中途女性役員も、相当お金もらってるんだろうな。先人がいない時代に、生き抜いてきた人はやっぱり強いし求められますね。)

 

 

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190803.pdf

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190803.pdf

 

(マイノリティも30%を超えると発言の影響力が増す。これは『女性のいない民主主義』でも書いてありました。政治でも企業活動でも同じね。)

 

また、女性活躍推進の効果として、少子化対策だったり(世界を見れば女性の就業率が高いほど出生率が高い)、男性社員にとっても働きやすい環境になったりといったものが挙げられます。

 

しかし、国としてもジェンダーギャップ121位(153カ国中)、そもそもの女性正社員・総合職・管理職候補生が少ない環境もあり、これまで女性活躍推進は実現しませんでした。

www.gender.go.jp

 

 

②実現のためにはどうしたらいいか?

 

1.「昇進意欲」と「時間的制約」で分析

 

自社の社員がどのタイプか、タイプが変化しているか、その原因はなにかを分析する。

例えば入社時昇進意欲あり・時間的制約無しという条件に男女差がなかったものの、30代社員を調査すると女性のみ昇進意欲無し・時間的制約ありに変わっているとする。

この原因は時間的制約があると昇進できない(減点対象となる)という制度上の問題にあるのか、管理職になると長時間労働しなければならなくなるというデメリットがあるからなのか等分析する。

※女性が時間的制約ありになるのは、結婚や出産、介護といった家庭内の性的役割分業の影響もあるけれど、これは別の本でまた勉強する。

 

 

 

2.採用・定着・登用のどのレベルで問題が起きているか分析

 

例えば入社当初から昇進意欲に男女の意識差がある場合は「採用」のフェーズに問題がある。

入社当初は差がなかったのに、年次が上がると差が生まれている場合は「定着」に問題がある。

年次が上がっても意欲が高い女性がいても、管理職になっていないのであれば「登用」に問題がある。

 

3.問題を細分化する

 

問題をより具体的なものにする必要があります。「女性が機会を得にくい」「女性が登用されにくい制度である」「女性自身の意識が醸成されていない」1、2で分析した問題の原因はどれに当てはまるのか。

 

具体的には、女性には難しいしごとを任せないといった機会損失が起きていないか、長時間労働ではなく生産性で評価する制度になっているか、スーパーウーマンをロールモデルにおいていないか(私にはできない、という意識を持たせる原因になる)等々。

 

また、女性に優しい制度設計(育児休暇や時短勤務等)は、細く長く働きたい女性には有効だが、昇進意欲のある女性にとってはあまり価値がない。

 

 4.具体的な施策

 

現状分析し問題がわかったら、それに対して施策を打ちましょう。

内容は細かくなるので割愛。

 

 

◯感想

 

 関係する本をいくつか読んだから重なるところもあったけれど、この本も情報が整理されていていい感じ。

この本では経営・人事に対して女性活躍推進のやり方を書いていたけれど、個人としては会社がこういう動きをするのを待っているのではなく、「機会を得にいく」「制度を知って使えるようになる」「意識を育てるために動く」のが当然必要だなあと感じました。もちろん人事側にいる間は、会社を変えるために動く。

 

また、管理職を目指す女性へのメッセージがよかったです。両立支援制度を活用しすぎることの落とし穴に気をつけて、というもの。家庭優先の人という「レッテル」を貼られることになるから。

 

 

それからやっぱり思うのはこれ。

 『もし世の中がジェンダーバイアスのない場所だったなら、それだけの時間を私は自分が好きなことの追求や、もっと多くの作品を生み出すことに注げたのに』。

女性であるだけで、ジェンダー問題に時間を取られるという実際的な不利益がある。

『考えなくても問題なく生きられるのは、あなたが差別する側だからです。』

  

begin2019.hatenablog.com

 

 

大学生の頃、理系女性の働き方・生き方ってどんなものがあるのだろうかと調べては迷走していました。大学のツテを使って出会えた先輩達は、仕事と育児と家事すべてをこなすパワーウーマンや、大学に泊まり込みして水道水で髪を洗って研究に没頭していた、なんていう超個性的な教授となんだかロールモデルにはならない方が多かったのです(当時10〜20歳上の方たちだったので、彼女たちの時代にはそのくらいの強さがないと生き残れなかったのかもしれない)。

 

私にはそんな強さはないけれど、それでも生き残るためにはどうしたらいいのかと考えた結果、大学生の私が出した答えは「したたかに生きる」でした。21歳の決断として絶望的。自分が働くことになる場所(≠会社)が男性社会であることを認めて、そのなかでうまく立ち回ろうというのは、女であることを理由にした諦めと同じです。ただ、完全には諦めていなくて、どうにかして変えられないかという思いは持ったまま入社しました。そこで今、少しだけ声をあげられる、聞いてもらえる機会を得ました。

 

鼻息荒く声を上げ続けるのは、非難されるし無視されるし、間違っている場合には恥をかくしとつらいけれど、せっかくチャンスを得たのでそれを最大限活かしていきたい。

 

21歳の頃の私のためにも、あと2ヶ月がんばろう。悶々と悩んでいた頃から、たった5年で発言する機会を得られたことに感謝しよう。でも5年前と変わらず、「発言に説得力をつけるためには、本業で成果を出さなければいけない。」この考え方を忘れずに本業もがんばる。

今5年前を振り返って、間違いもあったけど一生懸命だったなあと思うように、5年後の自分が今を思い出してくれたら嬉しい。

 

 

◯やること

 

・しごと 

上司に意見をまとめて提出してみたのですが、議論するだけで行動に繋がるようには思えません。時間はないけどどうやったら少しでも状況を変えられるのか、議論しつつ考えていく。

 

・自分のキャリア

私はどこで勝負していきたいのかを明確にしたいけど、まだ全然想像ができないので、まずその判断材料となるよう情報を集める。ぼんやりとでも理想が見えてきたら、その実現をいつまでにするか決める。

 

 ・ブログ

文章だけだと整理がしにくいので、ブログにも表とか図とか入れようかな。手間がかかりすぎるのは嫌なので、兼ね合いを考えつつ・・・。

 

 

おしまい。

 

輝く会社のための 女性活躍推進ハンドブック

輝く会社のための 女性活躍推進ハンドブック

  • 作者:清水レナ
  • 発売日: 2015/06/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

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