みたら書く

本や映画の感想を書きます

『ざっくり分かるファイナンス』

もっと早く読めばよかった〜!と思うと同時に、この1年やってきた仕事があるからとっつきやすく読めたのかな〜とも思う本でした。

 

昨年からよくわからないままに簿記の勉強をしたり、仕事でフリーキャッシュフローを計算したりしていたのですが、それがうまく繋げられました。こういう知識が勉強によって繋がっていくの嬉しい。

 

 

○内容

 

・1章 前提の会計の話

 

ファイナンス(財務)と会計の違い。未来の投資回収まで考えるのがファイナンス、現地点での売上・利益・残高等を示すのが会計(そして簿記とリンクされやすい、実際はごく一部しか示さないのに)。

 

まず会計には2種類あります。財務会計という対外的なものと、管理会計という内部管理のもの。

 

財務三表①貸借対照表(BS、バランスシート)

左に資産、右に負債と資本がある表のこと。ある一地点の調達と運用の状況を示すものです。この辺は簿記のことなので割愛。

資金調達には銀行借入、社債、株主出資(資本金)の3つがあります。前の2つは有利子負債、株主出資は無利子負債。しかし配当金等は必要。「資金調達=企業へ投資してもらう」ということ。

 

財務三表②損益計算書(PL、Profit and Loss statement)

例えば6月のBSと12月の貸借対照表の変化内容を示すのが損益計算書です。売上総利益、営業利益、経常利益、税引前/後当期利益が分かります。(海外には経常利益の考え方はないらしい!)

 

財務三表③キャッシュフロー(CF)

企業の活動でどれだけキャッシュが動いたかを示すものです。営業CF・投資CF・財務CFがあります。通常の企業活動では、営業CFがプラス(儲けている状態)、投資CFはマイナス(設備や商品に先行投資している状態)、財務CFは営業CF・投資CFを足して、マイナスの場合(つまり投資が営業活動でまだ回収できていない状態)となる場合、プラス(どこかから資金調達し負債を持つ状態)になります。

ちなみにフリーキャッシュフローは営業CF・投資CFのみを足したもの。

 

債権者は安定性を、株主は成長を重視する。それはなぜか。

債権は事前に利息を決めてあり、株主よりも優先的にそれを得られるが、株主は企業が成長し売り上げを出さないとリターンを得られないから。そして株主の代表である経営者は、企業を成長させる責任がある。

 

 

・2章

企業価値の最大化」とは誰のための価値か?

リスクをとっても大きなリターンがあれば良い。リスクは危険なだけではない。

 

利益を上げること(ROICを上げること)も重要だが、日本の経営者はそこに固執しすぎているのではないか。資金調達コストを下げる(WACCを下がる)ことも重要で、EVAスプレッド(ROICとWACCの差)を広げることが大切。

 

 

 

・3章

現在価値と将来価値を考える。

将来の100万円より今の100万円の方が価値がある、リスクを割引率とする。

 

 

・4章

企業価値を大きくするには2つの視点で見る必要がある。

 

企業価値=債権者価値+株主価値

企業価値=事業価値+非事業価値

 

ある投資に対して、上がる利益を正確に表すために、キャッシュフローで示すべき。減価償却を含めて利益を計算すると、キャッシュとあわなくなる。

 

*ワードメモ

期待収益率

リスクフリーレート

リスクプレミアム

永久債と成長永久債

 

 

○感想

簿記を勉強していた去年、「闇雲に、目的もなく資格勉強したって意味がないんじゃないか・・・しかも試験落ちたし・・・」と思っていました。でも違った、ただまず勉強してみるということに意味があったということがわかりました。とても嬉しい。

とにかく勉強したということが、この本の理解を深くしたし。

 

 

おしまい。