みたら書く

本や映画の感想を書きます

本『読書する人だけがたどり着ける場所』

さくっと読めました。

 

本を深く読むことが重要ということを前提に、どのように読めば良いかをとにかく説明した本です。

 

・なぜ本を読むことが重要か

リベラルアーツが重要であることは、最近特に知られるようになってきましたが、本を読むことも教養をつけることであり、自分の専門外の本を読むべきと筆者は書きます。

例えば、遺伝子工学を学んでいる人は、その技術だけを知っていればいいのではなく、それを応用する先への倫理観が必要でしょう。専門が「遺伝子工学」でも、それを使う時には「倫理観」が必要になる。専門分野がなんであれ、この「倫理観」にあたるところあ教養です。

 

ちなみに・・・リベラルアーツの記事

 

 

・どんな読み方が良いか

著者は自分だったらどうかと考えながら読むことや、好きなところ3つを決めるつもりで読むこと、読んだ感想を言葉にして人に伝えることを勧めています。(このブログの元々の目的と同じ!)

 

 

・おすすめ

紹介されていた本は、たくさんあるのですが、最初の章のところだけ抜粋。

 

『方法序論』デカルト

論理哲学論考ヴィトゲンシュタイン

五輪書宮本武蔵

風姿花伝世阿弥

『この人を見よ』ニーチェ

君主論』ニッコロ・マキャベリ

『饗宴』プラトン

『歴史とは何か』E・H・カー

『寝ながら学べる構造主義内田樹

『ファスト&スロー』ダニエル・カーネマン

 

読んだことのある本が紹介されていて嬉しい。他の本もこの記事を書いた後買います。難しそうなやつが並ぶ中、一つでも読んだことがあると心理的なハードルは少し下がる。別の章でホモ・デウスも紹介されてたし。

 

こうみると、大学1年生のこと教養として授業受けた気がするものもある。もったいないことしたなあ、もう一度大学に行きたいなあとよく思います。

 

後半は勢いよく読みました。

抜粋のみ載せます。

 

驚くべきことに驚けるのは、実は教養があるからです。知識豊富で教養豊かな人はもうあまり驚くことがないのではないかと思うかもしれませんが、逆なのですね。 

 

これ!以前の記事で書いたこと。

知識の増え方について考えるとき、普通は10努力すれば10増える、20努力すれば20になると言うような正比例の頭をイメージするのではないでしょうか。しかし、私の感覚はそうではありません。…読書の場合も、最初の20冊30冊位は大した知識も増えていないし、読むのが大変な感じがすると思います。…ところが、ある所まで行くと突然どんどん知識が吸収できるような感覚が生まれます。知っていることが増えたので、新しい知識もスムーズに入ってくるようになるのです。

 

こないだ見た映画の、『花束みたいな恋をした』の麦くんみたい。そして私もそう。バランスを取るためにいろんな考え方に触れないといけないのに、ビジネス書ばっか読んでちゃダメだね。

私たちはアメリカ式の資本主義に慣れてしまっているので、「成功したい」という欲求を自然なように感じています。

 

とにかく良い本だったな。紹介されていた本、読み終わるまでにいくつかAmazonでポチってしまった。

 

 

おしまい。

 

 

読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)

読書する人だけがたどり着ける場所 (SB新書)

  • 作者:齋藤 孝
  • 発売日: 2019/01/08
  • メディア: 新書
 

 

 

映画『花束みたいな恋をした』

とても良かったです!

後半は自分と重ねる部分ばかりで、ずっと泣いてしまった。

前半は恥ずかしい感じでしたね〜。

 

f:id:mari1410:20210219204257j:image

 

○内容

 

大学生の麦と絹は、終電後の駅前で出会う。

小説や映画、音楽の好みが合う二人は惹かれあい、付き合うことになる。

 

就活がうまくいかず、アルバイトをして暮らすことに決めた二人。麦はイラストレーターを目指し、知り合いから少しずつ依頼を受け始めていた。

 

大学卒業前から同棲を始め、アルバイトと親の仕送りで生計を立てていた二人。しかしそれぞれの親から「普通に」働けと説得される。仕送りも打ち切られ、仕方なく就活をすることに。

 

絹は資格を取り、先に就職した。一方で麦の就活は難航したけれど、なんとか営業の仕事に就く。

 

仕事で帰りは遅くなり、段々と気持ちに余裕がなくなっていく麦。好きだったはずの映画もつまらなく感じ、舞台の予定よりも仕事を優先してしまう。

 

一方で絹は、やっぱり好きなことをして生きていきたいと考え、イベント会社に転職を決める。お給料は下がっても、やりがいはあると思ったのだが、麦には反対されてしまう。

 

遊びみたいなことして生きていくのか?そんなことしてなんになるの?という麦は、「普通に」働く人のようなことを言う。

 

絹の母の言葉、『人生には責任がある』。これを大学生の頃の二人は、そんなことないと思って聞いていた。

社会に出た麦は、気付けば同じ台詞を言っていた。かつて思ってもいなかった大人に変わってしまった。

 

すれ違う二人の描写がリアルでした。

 

 

 

○感想

 

多摩川が舞台。ソラニンもそうでしたね。多摩川はそういう若い恋人たちを書くのに良い舞台なんだろうか。

私も数ヶ月前から多摩川沿いに住んでいて、なんだか不安な気持ちになりました。多摩川沿い歩いたよ、幸せな気持ちで。

 

 

映画の中で、変わっていく麦の様子が辛かったです。

もがいて苦しくて、ある方向に向かっていっていることはわかっていて、それがいいのか悪いのかわからないまま、止められない。

 

自分たちの関係が腐っていくのも、仕事に忙殺されていくのも、わかっているのに向き合えなくて、正当化してしまう。

がんばっている自分を、がんばっていることを正当化しないとやりきれない日々。

 

好きだった本も漫画も読めないし、ゲームだってもうパズドラしかできない。という描写は多くの若い社会人になって刺さったと思います。

しんどくなると頭使う趣味が難しくなるよね。

そしてそれだけ限界まで精神をすり減らしていると、他者へ不寛容になっていく。

 

同僚にも、恋人にも苛立つ麦は、仕事がうまくいかない時期の自分みたい。

 

 

一方で絹はイマドキで器用な感じ。

そこそこがんばったら定職につけたし、そこから楽しいと思える仕事と出会って転職できたし。

楽しいことしかやりたくないというのは子供っぽく見えるけれど、本当は皆そうなので仕方ない。好きな本やゲーム、好きな人に囲まれてほどほどな生活で良くない?という感じ。

 

なんとなく、ニュースでやってるUberで生計立ててる子みたいだった。(Uber個人事業主で後ろ盾がない。)

 

(と思ったら昨日イギリスでUber側が敗訴、請負事業者ではなく労働者という判決が出ていた。)

 

 

映画としては、若い二人の価値観が働き方によってずれていくことを描いていて、広くみんなに刺さりそうでした。

どちらが悪いというわけではなく、人生の転機には人の考え方は変わるし、特に余裕のある学生時代と社会人とでは、その変化は大きいというだけ。

ただ、麦には転職して欲しかったな。やりがい搾取のブラック労働は人を変えてしまうので。

 

本人の元々の価値観によらず「労働は善なり」という思想を刷り込まれていたように見えました。

 

 

個人的には現実と折り合いをつける(=本意でない仕事をする)ことは悪いことではないと思うし、自分の世界が広がるし良いことと思っています。これは「普通」の大人の考え方なのかも。

 

おしまい。

 

 

 

 

面白かった考察

 

『環境経営・会計』-CO2排出規制にどう対応していくか?

 

 

年末年始の課題図書。1月も終わりになってようやく読み終わりました。大学の参考図書になるような本だったので、さすがに難しかったです。

 

最近またCO2排出規制がニュースで話題になっていましたね。何十年も前から環境問題はありましたが、やっぱり実感がなかったり、自分たちの世代には関係ないやと思ったり、(政治家は高齢だし)なかなか取り組みの進まない分野なのかなあと思ってました。お金出してまでやりたくないし。まあだからこそ政策として、補助金出したりCO2排出規制、先日の投稿(トヨタのやつ)のようにEV車の推進をしているのかなあ。

 

 

○著者

國部克彦

神戸大学大学院経営学研究科教授博士

 

伊坪徳宏

東京都市大学環境学部環境マネジメント学科教授博士

 

水口剛

高崎経済大学経済学部教授博士

 

○内容

 

・1〜5章まとめ

※全体的な考え方や、後半の章で使う言葉の解説をしている部分。

 

環境問題を考えるときに、企業が製品を作る段階での外部への影響(例えば石炭を燃やしてCO2を排出するとか)だけを考えるのは本質的ではない。その製品の原料が採掘されるところから消費者に使われ、廃棄処分されるまでの一連の流れ全ての影響、つまりライフサイクルコストを考える必要がある。

現状では消費者が排出する環境負荷影響に対しては、社会全体で負担している(=社会的コストという)。

企業か消費者か株主か、誰かが損をする構造になっているが、企業と市場双方からグリーン化の努力をする必要がある。

 

マテリアルフローコスト会計という考え方。

ガイドラインは色々あるけれど、製品とそれ以外にかかるマテリアルコスト、公害防止、イメージ、廃棄物、研究にもコストと環境負荷がかかっている。

・機能と価値の違い、コストで割る

 

伝統的な設備投資決定の方法は、キャッシュインフローとアウトフローの比較、現在価値法や回収期間法等があるけれど、環境配慮型は、財務会計以外に環境負荷の評価指標も盛り込んで考えるべき。環境配慮型原価企画とかいろいろある。

マテリアルフローコスト会計の情報を、設備更新の際代替案評価に活用することもできる。

一時的なもの(特殊原価調査)もあるしシステム連携させるものもあるが、LCA(ライフサイクルアセスメント)との統合により、上流下流に渡って見直せるようになる。

 

6.LCC(ライフサイクルコスト)

商品の生産のみならず、原料の採掘から、消費者が使用する際の電力、それをリサイクルする際どれだけ有価回収できるか(回収した分エネルギーコストを削減できたと言える)といった、製品に関わる全てをコストで評価する方法。

 

7.環境効率とファクタ

環境効率とは、製品の付加価値や経常利益を分子とし、それにかかる環境影響(これはLICA手法等を用いて算出)を分母とする指標である。国レベルではGDP/年間被害相当額として考えたり、企業レベル・製品レベルでも同様に算出できる。

しかしこの指標は分母分子を自由に設定できるため、他社と比較するのが容易ではない。

 

ファクタとは、評価対象と比較対象製品の環境効率の比をとった指標である。基準の何倍か?と考えわかりやすい。

 

8.環境情報開示と環境報告書

環境情報の開示は、義務化され、開示項目を明示されている。(紛争鉱物の取引情報も。)日本はあまり詳細にまとめていない。各国、各社の算出基準も明確化されていないが、情報審査協会や非営利団体の定める枠組みが、統一され適用されるべき。

 

9.外部環境会計

財務会計の枠外、環境報告書で開示する環境会計のこと。環境庁が1999年以降、ガイドラインを示し各社標準化している。

 

10.資産除却債務

キャップ&トレードにおける排出枠は単なる売却可能な資産ではなく、許容される排出の上限値であり、実際の排出量をその範囲に抑えなければならないと言う義務とセットになった資産である。そのような義務の遂行状況が投資家やその他のステークホルダーにはよく理解されるような会計であることが望ましい。

なるほどね。

 

11.資本市場と環境問題

 

初期の際、英米キリスト教会が投資先から酒やタバコを除外したのは、それらが彼らの宗教的倫理観に反するからであった。酒を飲むことが罪ならば、そこから利益を得ることも罪だと言うのである。彼らが示したのは自己の価値観や倫理観を通し行動でも一環させると言う姿勢があり、「儲かりさえすれば何をしてもいいのか」を問うものであった。これが第一世代のSRIである。
 

 

第二世代では1970年代以降のアメリカ、様々な社会運動と結びつくことで社会変革を目指すものとなった。利益を犠牲にするものではなく、社会的スクリーンや株主行動で社会変革を目指しながらも、通常の投資と同等の利益を追求するものである。そして1990年代、第3世代のSRI企業が環境問題に配慮することは利益を犠牲にすることではなく、資源効率を上げ、無駄を省き、訴訟等のリスクは減らし、企業イメージを高めて利益に貢献することだとする認識が広まった。現在ではこの考え方を社会問題全般に拡張し、CSRに取り組む事はリスクマネジメントと企業イメージの観点から企業価値の向上に向上に貢献すると視聴されることが多い。
 
 

○感想

公害防止とか、エネルギー管理とか、工学的な視点では考えてきたことだけど、経営という視点では考えたことなかった。

 

最近三菱重工の欧州での水素製鉄のニュースがありましたが、日本で導入されないということは、日本は遅れているのかなあと感じます。国としての力の入れ方も、欧州が昔から牽引しているイメージがある。(水素製鉄、日本でやってるかも)

でもキリンの廃プラ再利用とか、気にしてニュースを見ると少しずつ取り組んでいる会社は増えているのだろうか。

 

本書のコラムで、キヤノン等も環境報告書の中でマテリアルフローコスト会計を使っているとありました。やっぱり本読むだけじゃなくて実物を見ないとね、ということで読んでみる。

https://global.canon/ja/csr/report/pdf/canon-sus-2020-j.pdf

global.canon

一括ダウンロードして、P.38以降参照。見やすくてわかりやすい。

マテリアリティマトリックスがわかりやすいです。これから仕事する相手の、サステナビリティレポートは読むようにしよう。・・・と思って調べ始めたのですが、見つからない。どの会社もやってるわけではないんですね。やっぱり余裕のある大企業がやっている取り組みというのが現状です。それでも強制力を持たせたり、補助金出したり、いろんな工夫をして進めていくべきで・・・

 

ただ、環境と経済はやっぱり両立しないのかと感じる記事も。

 

この本は何かの解決策を提示しているわけではなく、こういう考え方でまとめると比較しやすいですよ、とか、投資や評価の判断材料を与えてくれるものでした。タイトルに経営・会計ってついているから当たり前なんですが、現場の担当者として働いている自分からすれば、結局じゃあどうするの?がわからなかった。それは個別企業で考えていくべしということなのかな。サラリーマンとしての感想はそんな感じ。

 

ただ、投資する個人としては、自分のスタンスを固める要素に「環境」を入れるのはいいなと思いました。キリスト教徒が酒で儲ける会社に投資しなかったように、私も自分の思想と合わない会社には投資しないようにしよう。金額の大小ではなく、これはポリシーの問題ですね。

 

 

○やること

 

去年の2月に落ちた簿記、再チャレンジしよう。一瞬でも勉強していたことが、この本を読み進める上で役立ちましたし、何よりもすごいと思っている上司が、さらっと簿記一級持ってるよと言っていたのを聞いて、モチベーションが上がってるので。

①仕事に直接役立つこと(工学的な知識とか)、②間接的に役立つこと(簿記とか)、③今は役立つかもわからないけど自分が学びたいこと(歴史とか)、それぞれに時間を割いていきたいけど、だらだらしすぎて時間が足りない。

プライベートでこの半年いろいろあったけど、気を引き締め直そうと思いました。

 

年間計画・・・・ ①を20冊、②を20冊、③を10冊、④として小説や、株式投資とかフェミニズム、老後のことを勉強したりする本を読もうかな。これはカウントせず。週に一冊なら、たぶんいける。

実務的な本ばかり読んでも良いのですが、小説を読んでワクワクしたり、優しいエッセイを読んで泣くことも人生には必要と思ったらします。

 

ちなみに去年の振り返りをしてみると、ブログ50投稿してました。自粛で時間めっちゃあったもんね・・・。

本は何冊読んだかわかりませんが、まあ割と年の前半にたくさん読んだ気がする。新しく取り組んだことは、たくさん。

 

2月に初めてヨーロッパに行った。コロナ前滑り込みで行けてよかった。あと簿記初受験して落ちたり。

4月からは新しい仕事をやらせてもらえた。これはとても良い経験になったな。

7月からもまた別の新しい仕事。まだ半年足らずだけど、わかってきたことがあるので今年も引き続き頑張りたいな。(そのために部署異動はしたくない。)

10月から結婚と引越しとバタバタ。感謝することばかりなのに、それをちゃんと伝えられていない気がする。よくないね。

 

2021年、今年も新しいことたくさんやっていこう。

 

おしまい。

『部長ってなんだ!』-伊藤忠元会長、さすがパワフル。そして勉強家。

 

普段あまりこういう本は読まないのですが、なんとなく読んでみました。

飲みの席でアドバイスいただくくらいの気持ちで。

 

○著者

丹羽宇一郎

伊藤忠商事株式会社会長、元中華人民共和国特命全権大使。 

 1939年、愛知県生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。1998年、社長に就任。1999年、約4000億円の不良資産を一括処理し、翌年度の決算で同社史上最高益(当時)を記録。2004年、会長に就任。内閣府経済財政諮問会議議員、内閣府地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任し、2010年、民間企業出身では初の駐中国大使に就任。現在、公益社団法人日本中国友好協会会長、一般社団法人グローバルビジネス学会会長、福井県立大学客員教授東京理科大学上席特任教授、伊藤忠商事名誉理事。著書に『仕事と心の流儀』『社長って何だ!』(以上、講談社現代新書)『死ぬほど読書』『人間の本性』(以上、幻冬舎新書)など多数。

(本書より引用)

 

○内容

 

下積み時代、圧倒的な努力を重ねた。仕事はもちろん土日返上、夜は接待や勉強。

定時で帰るアメリカ人は、その後家族団欒を楽しんでいると思い込んでいたが、違った。ある時エリート・サラリーマンの家を尋ねると、書斎には専門書や仕事の書類が山積みで衝撃を受けた。

 

インターネットの普及によって情報が手軽に入手できる時代です。しかし、それで現実を知った気になるのが一番危険です。・・・(省略)・・・すべては現場に宿る。

 

アメリカ赴任中から、メディアへの寄稿や講演、そして国内での連載を通じて名前が知られる。

 

 日本では「専門を極めたスペシャリストは出世しにくい」という見方があります。・・・私は決してそうは思いません。・・・それぞれの部署が管轄する全ての業界を知らずして会社の舵取りができないとすると、経営者になど誰もなれません。・・・そもそも経営とは、実務を行うこととは異質なものです。・・・スペシャリストとしての基礎がない人間は良いジェネラリストにはなりにくいものです。

これな!!ただ、担当者のうちは担当者のやるべき役割を果たす。そのために勉強して行動する。

 

失敗から学ぶこと。

キャッシュフロー経営が大事。

役員会に陪席するなら、首のかかった役員より部長の方が良いことを言えるはず。

 

女性・外国人の活躍には時間がかかる。男ばかりで100年やってきた会社で、これからの100年かけてやっていかなければならない。

 

夢をもつべき。課員の頃から、自分が部長だったらこうするのに、と考える。

 

部長になったばかりの頃、部下のことを人事課で教えてもらった。顔と名前、社歴だけでなく、どんな上司のもとで働いてきたのか。家族構成は、子供は、親はと知り、彼らへの声かけをしていた。彼らのキャリア・人生への責任がある。

 

自分を磨くことの楽しさを、仕事を通じて実感できるようになるのが人生の喜びだと思います。

 

イデアのもとが人とのコミニュケーションの中で生まれる話。

・・・ふっと頭に浮かぶ。それをパッと捕まえられるかどうか。・・・通り過ぎていくものをつかむのは能力ではなく、四六時中そのことについて思いを巡らせて感度を高めているかどうかにかかっています。

これがダイバーシティのメリットなんですよね。きっと。

 

新人時代、そして役員以外は、人生の柱が仕事になってしまうもの。そしてその時期には、周りの人たちが犠牲になることも理解しなければいけない。

 

ライフワークバランスという言葉には違和感があり、仕事=人生であると書いてありました。

 

○感想

がんばろ〜!

やっぱ成功者はみんな勉強家やな。(勉強家が必ずしも成功者ではないけど、、)

 

ただ、まあ自分がやってきたことを誇りに思っている、大先輩の語りだなあとも感じました。

 

そしてなんやかんや伊藤忠すごい。

 

おしまい。

 

部長って何だ! (講談社現代新書)

部長って何だ! (講談社現代新書)

 

 

 

『トヨトミの逆襲』-社内人事も企業活動も、政治が大事?

めちゃくちゃ今更ながら読みました。今回もとても良かった。

前作よりも陰湿な感じでしたが、最近の話なので想像しながら読めたのが楽しかった。

 

前作がこちら↓。前作の方が熱くて好みではありました。

 

begin2019.hatenablog.com

 

○著者

 梶山三郎

経済記者、覆面作家。2016年10月18日、『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』(講談社)で衝撃デビュー。同書は2019年10月、小学館文庫に。

(本書巻末より引用)

 

 

○内容

 

豊臣統一(豊田章男)が新社長に就任から10年が経っていた。それまでにリーマンショック、高級セダン・ゼウス(レクサス)の暴走事故、大規模なリコールとアメリカ議会による公聴会での証言等を経験していた。そして世の中はEVの時代へ。

当初ハイブリット車に力を入れていたトヨトミ(トヨタ自動車)は、マツモト自動車(マツダ)と提携しEVに本格的に取り組み始めるが、世界と比べ出遅れていた。

 

ドイチェファーレン(フォルクスワーゲン)はディーゼル不正のあと、ZEV開発に舵を切っていた。中国は政府としてEVに緩和政策を取り、テスラやグーグルが自動運転技術を持って市場に参入してくる等、自動車業界を取り巻く環境は大きく変わっていた。

 

ただし、技術的な課題は共通していた。バッテリーをたくさん積めば走行距離は増す、しかしその分高コストになる。ガソリン車と同レベルの価格で、同レベルの走行距離の車を作ることはどの会社も解決できない課題だった。

 

 

一方トヨトミの下請け企業(サプライヤー)は、EV化によってその役割を失うことを恐れていた。しかしサプライヤーのうちの一・森製作所にはEVで強い技術があった。

 

トップレベルの技術を持つが、規模は小さなメーカーであった森製作所は、トヨトミに不満を抱いていた。かつてプロメテウス(プリウス)の内部部品であるモーターの巻線を製作していた会社のだが、ある時彼らが作った図面を、トヨトミが盗んだからである。(受注を見越し図面をやりとりしていたにも関わらず、その図面だけを受け取り発注をしなかった。)

 

そんな裏切られた森製作所に、ワールドビジョンの宗正一(ソフトバンク孫正義) が声をかける。サワダ(本田技研)と省電力モーターを使用したカーシェアの構想の一端を担わないかという打診である。トヨトミに裏切られ疑心暗鬼になっていた森製作所社長も、宋会長に説得されその依頼を受けることとなった。

 

EV化を進める中で、トヨトミは森製作所の技術力に頼ることを検討し始めるが、裏切りの過去があったためそううまく話は進まない。しかもその裏切りは一社員の私欲のためであった。リベート目的の、購買部長単独の判断が企業としての信頼を損ねていたのであった。

(・・・この森製作所、実在の会社を探したのですが特定できませんでした。)

 

 

  

 また、世情は米中貿易戦争の只中。関税の掛け合いから日本を味方に取り込もうとしたのか、中国が日本企業に急接近していた。雄安新区にトヨタを引き入れようとする動きがあったり。

(雄安新区とは↓)

習主席肝いり 中国ハイテク都市「雄安新区」の実力は:日経ビジネス電子版

 

その動きの中で、トヨトミはワールドビジョンとの合弁会社を作る。

(実際にあるHP→MONETとは | MONET Technologies

この会社を作った目的は何か。

ワールドビジョンの目的は、自動車メーカーとしてのノウハウを得ること。そして実際に制作することをトヨトミに担ってもらうこと。一方トヨトミ側のメリットは、米中両方にパイプを持つ宗に取り入ることであった。

会長の宗はトライブ(トランプ)大統領が最初にあった日本人である。宋にはアラジングループのジャッキー・ワン(アリババのジャックマー)の人脈があったため、そのようなことが可能だった。そんな強い人脈を世界中に持つ宗を、トヨトミは味方につける必要があった。

 

それはなぜか?

IoTの時代、すべてのものが軍事となる。例えば航空機が自動運航している時、ハッキングすればテロを起こせる。車も然りで、インターネットと繋がるもの全てにサイバー犯罪のリスクが生じる。それを防ぐために、当然セキュリティ基準を整備するのだが、まずは国単位でのものとなる。その自国の基準を、国際基準とできれば、その国の製品の国際競争力は高まる。政府は国を強くするため、自国が国際基準を握りたい。

その時企業はどうするかというと、「デジュール・スタンダード」、公的機関がその基準を定めるものだが、それを制することを考える。基準が定まる前に政府に取り入り、他社・他国の製品より早く基準に適したものを拡販することができるからである。安全保障と通商は一体となっているのが実情ということ。

 

トヨトミも、宗の人脈を使ってアメリカ政府・中国政府両方と繋がり、それぞれのデジュール・スタンダードを抑えたいと考えたのだ、と前社長の武田(奥田碩、彼の話は前作『トヨトミの野望』で。)は語る。

 

TikTokの規制でOracleが云々…って話ありましたね。ファーウェイ副会長の逮捕とかも・・・。当時そのニュースをよく理解できていかなかったのですが、こういう背景を知っていくといろいろ繋がりますね。(トランプ氏、TikTokとオラクルの提携案を「承認」 データの安全性「100%保たれる」と - BBCニュース))

 

 

 

社内政治の話も面白かった〜。

社長の統一は、自分の意に反することを言う人をどんどん切って、ご機嫌を伺う役員ばかりで周りを固めてしまっていた。 

林は若い頃から統一の信頼を勝ち得て副社長となり、統一を意のままに動かしていた。

寺内は統一の「お友達」で、Facebookに視察情報を載せるような間抜けであるのに、副社長の座についていた。

もう一人の副社長の照市は出世欲より研究者気質。しかしそんな彼が上がるのはうまくないと周りは考えている。

そして人事を握る笠原は、中国トヨトミ会長となり、林から次の社長の座を匂わされ色気を出していた。人事権を握っていたため、自分が上に行くために邪魔なものを異動させるような、私欲に塗れた配置をしていた。

また三代前の社長・武田は、顧問・相談役一斉解雇の際に権限をなくされている。統一にとって邪魔な存在であり、コーポレートガバナンスを理由にした体のいい解雇だった。(元々外国人株主らから、権限や報酬に顧問や相談役の給与や役割に透明性がないとして指摘を受けていた。)

そんな彼らの存在を、父親であり元社長をしていた豊臣新太郎に注意される。創業一族であり社長である自分にすり寄ってくる人間を信頼するなというが、統一はそれをなかなか聞き入れられずにいた。しかしあることをきっかけに、統一の目が覚め、考えがガラリと変わっていく。

 

 

 

名言いろいろ。 

劣等感を持つ人間は権力に誠実だ。

 これは本当にそう。私の上昇志向の根源は劣等感かもしれない。

 

 

トヨトミにいる限り自分だけは何があっても逃げられない。

創業一家だからこそ良い思いをすることもあるけれど、周りも自分自身も、ただのサラリーマンとは自分(豊臣統一)を見ない。その責任がこの言葉に表れているなあと思ったり。

 

 

○感想

 

社内政治がドロドロでした。みんな私利私欲に塗れて、ピュアな社長は彼らに騙されて(お父さんである前社長の言葉があったから気付けたけど)、そんなんで良いの?という気持ちになりました。

結局部長以下くらいが企業の売り上げとか目の前の数字のことを考えて、それ以上は社内外の政治とか、もっと広いところを見て世の中を動かしてるんかなあ。国際基準がないところを押さえていくことが大事、という話とか、まさしく政治的やもんなあ。。。

 

そして米中の対立に対して、企業はどうやって対応していくかというのは面白かった。

少し前に読んだスマートシティもそんな話でしたね。売り上げで戦うことを考えるのも大事、でもそもそものまず戦い方、ルールを決めるのが政治でそこを押さえていく方がもっと大事。

 

begin2019.hatenablog.com

 

トヨタ関係で最近ちょうど良い記事が。

 

前作より登場人物の個性が薄くてつまらなかった。アツさがある人とか、迫力ある女性とかが欲しかったな・・・(これは最近買った黒革の手帖の方で楽しめばいいかな)。

 

あとは最近のブログについて。

毎月100PV行くようになって嬉しいです。でもまじで誰が見つけてきて読んでくれるのか…謎です。Google Analyticsとかアクセス解析とか見るけど、結局どんな人かはわからないから、本当に不思議。まああまり意識せず、自分の整理のために書いていきます。

 

<メモ>柳沢吉保徳川綱吉の寵愛を受けた、自分の出世の邪魔になるものをどけた人っぽい。  

 

おしまい。

 

 

トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

  • 作者:梶山 三郎
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 単行本
 

 

 

トヨトミの逆襲: 小説・巨大自動車企業

トヨトミの逆襲: 小説・巨大自動車企業

 

 

 

旅記録 京丹後 2020/8/12-13

京都でペルセウス座流星群を見よう、という素敵な旅でした。

 

○1日目

新大阪まで新幹線で、そのあと車で移動してコテージへ。夜中につきました。道中の山道が怖すぎてちょっと怒ってしまい反省。

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小さいお子さんがウロウロしていたり、お母さんがおしゃべりだったり、なかなか良い宿でした。

 

流れ星は4つ見ることができました!流れ星を見たときに願いごとをいうと叶うといいますが、あれって「即座に自分の願いを言えるほど、常日頃からそのことを考えているならば、」その願いは叶うということらしいです。そのレベルにまでなっている、私の願いってなんだろうな〜なんて眠い頭で考えてました。…健康かな?

 

○2日目

 

京丹後観光。伊根の舟屋へ。

https://goo.gl/maps/Lri9cMQGheJBTEqUA: embed

 

千鳥の相席食堂で、野性爆弾のくっきーが行ってましたね。


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すごく綺麗でした。本当に青色。面白いのは、道路側から家を覗くと、そのまま海が見えること。当たり前に海があるってすごい。

 

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舟屋の近くにお土産やさんやレストランがあったのですが、あまりに人が多く、ご飯は天橋立に向かうレストランで食べました。

 

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ハモ!

 

ツーリングしてる人たちもいた。暑いけど気持ちよさそう。

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海で遊んで、天橋立は疲れ果てて渡らず。数年ぶりに水着を着ました。

 

車で新大阪に戻って、そこから新幹線で帰宅。いい旅でした。

 

おしまい。

旅記録 日光〜中禅寺湖 2020/11/27-29

 

母と2人で行きました。GoToのおかげで破格。

 

○1日目

浅草で母と合流し、東武特急に乗って下今市まで、乗り継いで東武日光駅まで行きました。

 

昼食は『本家 やまびこ』にて、湯葉の天ぷらとお刺身、あったかいお蕎麦を食べました。結構衣がガッツリしてた。写真無し。

 

その後は輪王寺(りんのうじ)の大猷院(たいゆういん)へ。徳川家光のお墓で、世界遺産の一つです。

 

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お寺は通常南向きだそうですが、家光は祖父である家康に大変感謝していたため、北東にある家康の墓(日光東照宮)の方を向いているとのこと。

 

次にガイドさん付きで日光東照宮へ。家康のお墓。こちらは2年くらい前にも一度来ていたので2回目。

 

見ざる聞かざる言わざる、は人の一生を連続して描いたもので、あの彫刻は馬を守るためのものらしい。一つ一つ意味があって楽しい。

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真ん中は荒波に揉まれる夫婦らしい。大変なことも2人で乗り切ろうね。

 

日光東照宮で面白かったのはその配置で、江戸から見て真北、1年間家康が埋葬されていた静岡の久能山東照宮から見て北東(鬼門)にあることです。家康は江戸を守る神になろうとしたのでは、、等調べると色々出てきます。

また、夜、日光東照宮の陽明門前のある位置に立つと、陽明門の真上に北極星が来るそうです。パワースポットなんだって。

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ちなみに家康は死後神に、家光は仏になったので、それぞれ神社(日光東照宮)とお寺(輪王寺)という違いがあるのだそうです。

 

日光東照宮が有名ですが、その歴史は400年ほどであり、輪王寺の1200年の歴史と比べれば浅いものなのだそう。

 

***Googleメモ***

世界遺産日光の社寺
世界遺産の名称:「日光の社寺」(Shrines and Temples of Nikko)
所在地:栃木県日光市
登録遺産の範囲:二社一寺(日光東照宮、日光山輪王寺日光二荒山神社)及びこれらの建造物群をとりまく遺跡からなり、その中には国宝9棟、重要文化財94棟の計103棟の建造物群が含まれる。

***メモ終わり***

 

夜は金谷ホテルに宿泊。クラシカルで素敵でした。回転扉に赤いふかふかの絨毯でテンションあがる。

 

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獏(ばく)かな?ホテルの柱にいた。

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バクは夢を食べると言われますが、昔(徳川の時代?)は鉄や銅を食べると言われていたそう。寺院では魔除けになるんだって。変わってますね。

 

レストランでの夕食も素敵でした。変わった食材が使われているわけではなく、安定している感じ。白ワインは甘くてまったり系。

 

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大浴場がなかったのでお部屋のお風呂でゆっくり。就寝。

 

○2日目

朝ごはんもホテルにて。バターロールが美味しかった。きっと金谷ホテルベーカリーで買えると思います。

 

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バスで中禅寺湖に行きました。雪がちらついていて、めちゃくちゃ寒かった…。

風が強く船が欠航するかもしれないということで、イタリア大使館別荘の予定を取り止め、船で一周だけしました。

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その後中禅寺金谷ホテルという、日光とは別のホテルの温泉へ。硫黄が濃い。

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めちゃくちゃ天気がよかった。

 

ポカポカになって華厳の滝へ。圧巻。想像してたより迫力がありました。

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この中禅寺湖華厳の滝等の一帯は日光国立公園らしい。

 

ホテルに帰ってきて、ご飯の前にバーに行き、神橋(しんきょう)のカクテルを飲みました。神橋はホテル近くにある橋のことです。

 

勝道上人という人が日光を開山したのですが、その際大谷川の急流に行く手を阻まれたそう。上人が神仏に祈ると、深沙王(じんじゃおう)が現れて2匹の蛇を放ち、それが苔むして橋となったのがこの神橋だそうです(日光東照宮のガイドさん談)。神話ってすごいよね…。

 

梅と桜のリキュールが使ってあって、香りが爽やかでした。バーの中は暖炉もあって素敵でした。

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ごはんも最高。

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マスタードサワークリームのソースが美味しかった。

フルコースでお腹パンパン。就寝。

 

○3日目

一瞬裏庭をお散歩しました。所用があり早めに移動・解散。

 

お土産は金谷ベーカリーのフルーツケーキとチョコレートのミニケーキ、お漬物。

 

○予算

GoToで移動+宿泊+夕朝食込み1人4万円程度。

2万円近く地域共通クーポンがついたのですが、なんやかんやと現金も1万円くらい使いました。しかしこんなにいいホテルに泊まって、飛行機往復もついてと考えると安い、最高。

 

お母さんと旅すると、毎回いろんな歴史や文化の話が聞けて楽しいです。

 

おしまい。

 

金谷ホテル

 

レストラン

 

バー

 

日光東照宮のガイドさん

 

中禅寺湖の遊覧船