本『女嫌い 日本のミソジニー』
2019年度東大入学式の祝辞が有名な上野千鶴子さんの著書です。
ちょっと忙しくて感想をまとめ切れず、今回はメモのみです。
この本で引き合いに出されていた小説も読んだ。こちらもまた衝撃的。
○内容
まず、辛辣でたまらなかった部分を引用。
男仕立てのルールにはいつも、ルール違反を許容するウラがある。低階層の女は正妻にはなれないが、愛人や妾にはなれる。
女とは男の外見に惹きつけられる単純な生き物だと見なされているようだ。あるいは自分自身が異性に対して示す反応を相手に対しても投影することで、かれ自身の異性観の貧しさを示しているだけかもしれないが。
ここからは私的なメモです。
ミソジニーとは?
主語を男性にすると女性蔑視であり、主語を女性にすると自己嫌悪である。
女好き男?
男性を男性たらしめるものは女性の存在であり、彼らは自身のアイデンティティを他者に依存しているといえる。そのなかでも女性の快楽は男性のセクシャリティの達成を評価するものと思われている。安全圏から見下している女を見て、その女らしい記号に欲情し、支配していると思い込む。彼らは見下している女の存在から逃れられないし、彼らの書くものは「女の話」ではなく「男の妄想」に過ぎないのだ。西洋人のオリエンタリズムと同じだ。蝶々夫人のマダム・バタフライと同じ、都合の良い妄想。人種はジェンダーと同様歴史の構築物であり、例えば「高貴な白人」の証明のために「劣勢人種としての黒人」をは設定される。
手に負える程度の女しか愛せないのではないか。
ホモファビア?
男から認められることこそ男にとって至極である。男と認め合った者たちは、男になり損ねた者と、女全てを差別することで成り立つ。性的主体であることが男であることを証明する。
フロイトの生の欲動。
なりたい要望と持ちたい要望。父のようになり、母のような存在を持ちたいと思うのが男であり、その逆が女である。
ラカン「欲望とは他者の欲望である」
先日の投稿にも出てくる二人。
女性蔑視と女性崇拝という相反する価値観がある。
英雄色を好む、しかし無知で無垢な女に価値があるという性の二重化。
「聖女と娼婦」「妻・母と売女」「結婚相手と遊び相手」「地女と遊女」
人種が違えば人間ではない(ナチスのような)というような考え方が、この対比をより明らかにする。同じ女性同士でも、自身を前者に置くために、後者を差別することになる。しかし後者も前者を無力で男に依存するものと哀れむ。結局、どちらの女性も抑圧されている。母のような優しさか、性処理道具かなんて、同じ穴のムジナだ。
非モテ?
高度成長期より前の時代は、上位の男に女が集まり、「甲斐性のある男」は正妻・愛人・妾を囲い込んだが、その分独身男性は多かった。高度成長期以降、一夫一婦制が浸透し全員結婚社会になった。1960年代半ばからは下降し今では結婚はただ選択肢の一つに成り下がった。
非モテというのはむしろずっとある存在で、ただ1955〜1970年あたりのみ、ほぼ100%の男に女が行き渡っていただけなのだ。
○感想
自分が興味のある分野について、頭が良い人が論じてくれるとこうも気持ちがいいものかと、改めて感じました。ある専門分野の研究者とかって、人の論文を読むときに同じような感覚になるのかな。
ホモファビアの章を読んでいて、周りが結婚し始めた男が、我も我もと結婚していくのも、同じ思考なのかなあなんて思ってしまった。
バイアスかかりまくりなんだけど、少し前に会社の役員と話してやっぱすごいなあと感動してしまった。歴史に文化に芸術に詳しい、と思ったらフェミニズムまで語ってくれる。 そういうふうにフェミニズムを語れる男性が増えたらいいな。女性の支持を集められたり、教養としてかっこつけの道具にしたりできると思うし。
おしまい。
『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』
内容はめっちゃ簡単。実行だけが難しい。
○著者
ジェイエル・コリンズ
○内容
以下の内容を書いていて、なぜそう言えるのかを説明しています。
実際の数字を出したり、過去の経緯を書いてあったりするのですが、言いたいことは至ってシンプル。
・借金をしないこと。ローンも借金であると認識すること。奨学金だってそう。
・インデックス投資は最高。アクティブより絶対にリターンが大きい。(私たちはウォーレン・バフェットにはなれない。)市場は長い目で見ると常に成長している。
・バンガードが良い。手数料も低い。
・アドバイザーはあなたの利益を出すことよりも、アドバイザー自身の手に入る手数料を高くすることを目的にする。
・生活にかかるコストを変えないこと。収入が増えたら家賃を増やすのではなく、投資額を増やしていくこと。
・投資額の4%で暮らせるようになれば、経済的に自立していると言える。会社に縛られない。
・債券をポートフォリオに組んでもよい。株式の大幅な変動を抑えてくれる。(インフレ、デフレに対して、株式と債券は逆向きの効果を持つ。)
・まとまった資金があるのであれば、ドル・コスト平均法を取る必要はない。一気にやる。毎月の収入からの積み立てはやむを得ない。
○感想
つみたてNISAを外国株式インデックスで始めました。
淡々と続けるのみ。
おしまい。
『よかれと思ってやったのに』『キム・ジヨン』『橋本聖子さんと話そう』
東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗・元内閣総理大臣の発言を受け、世間が、男性が、男女不平等に少しだけ気づき始めたことを嬉しく思います。
自分が結婚するまでに、選択的夫婦別姓が実現しなかったことは悲しいけれど、その悲しみをエネルギーに変えて、これからもフェミニズムを勉強していく。
今回は本の感想2つと、イベントの感想を1つです。
本『よかれと思ってやったのに』
男性の嫌なとこあるあるを書いた本。なのに、半分は自分のことか?と思う本でした。反省するところも多々。
内容はかなり感覚的で、サクッと読むにはいいかなという軽いレベルでした。まぁ導入レベルの本して書かれたのかな?
○内容
いくつかピックアップ
・小さなめんどうを押しつけてくる男たち
性的役割分業意識から、それって女の人がやることでしょ?と思っていたり、それがデフォルトになり、基準を低めに設定し、ちょっとゴミ出ししただけで「やってあげてる精神」を持つこともある。
面倒を回避できるのは多くの場合「優位な側」や「許される側にいる人」です。・・・これは誰かに対する圧力や、他の誰かの諦めによって獲得した状況であることも多く、そこにあぐらをかくのはとても危険です。
・謝らない男たち
釈明行為には4タイプあり、
1.謝罪
2.弁解
3.正当化
4.否認
ごめんと言われても謝られた気にならなかったのは、気のせいではなかったのです。謝罪されていたのではなく、弁解されていたのだなあとかね。
・話し合いができない男たち
男女でそもそも「話し合い」という行為の捉え方が違っているように感じられます。女性たちは概ね、話し合いを(目の前の問題(あるいは潜在的な問題について互いの意見を述べ合い、そのすり合わせを図る行為と捉えていました。一方の男性には話し合いを相手の機嫌をなだめるための行為と考えている人が少なくありませんでした。
ホモソーシャルについても説明があり、とてもわかりやすかった。
○感想
私はわざと求められる性的役割(女は家事をするとか)の逆を演じることがありました。それには目的があって、「女だからって家事とか親戚付き合いとか、めんどうなことを押し付けるなよ」という意思表示をすること。
また、男みたいな考え方だねと言われることもありました。この発言に問題があることを傍に置いたとして、私がなぜそうなったかはまだ言語化できていません。
しかしそんな考え方をしていた結果、意図しないところで、この本に書いてある男性のようなことをしていたことに気づきました。謝らないとか、議論できず攻撃されたと思い反撃するとかね。よくやっていたことだけど、あぁ今までしてきたことが言語化されて、反省しやすくなったなと思った。
これはいい気づきで、自分の中の暴力性や矮小さをはっきり認識できた。
ただ、私が持っていた男性のような特性は、女の私を守ってくれていたとも思います。
本当は嫌なのに、黙って我慢して家事をするなんてしてはいけないと、私は考えています。ちょっとしたことなのに、大袈裟に俺はなんて協力的な男だ!とアピールする男性のように、女性たちにもそんなふてぶてしいマインドを持って欲しいななんて思う。
本の中のすばらしい言葉を。
かつて「売春」を「買春」と言い換え、買う男の問題なのだと読み変えたように、暴力をジェンダーの視点から捉え直し、男らしさに関する問題として掘り下げていく。まだまだ未開拓な部分も多いけど、男が自分たちで言葉をつくっていかなければならない。私はよく、「ワードがワールドを作る」とよく言っています。言葉がないと現実を認識できないので。でも、既製品の言葉に頼ると単に男らしさワールドが再生産されるだけなので、これを破壊する創造的なワードが必要です。
私が普段言っていることですね。
「嫁と言わないで。言葉はその背景にある歴史や思想を反映したものだから。」
めんどくさい女だと思われるのでしょうか。
既得権益に気付かず自由にしてきた男性たちにとってはノイズでしょうが、10代から悩んできたことを、無駄にこんなことに時間を割いて勉強してきたことを、やっと言語化して表に出せるようになっただけ。
勉強は力です。知れば考えられる。言葉にできる。言葉にすると相手に伝わり、相手が変わるかも。めんどくさがられて、距離を置かれる方が、そんな人と付き合うより快適でしょう。
自分が生きやすい環境を手に入れるために私は勉強します。
最近はこんな記事も。男が言うんじゃねえ!と心の中の女が騒ぎますが、そんな対立は不毛。そして私はデリケートでないのでこの記事のことが理解できますが、キレイ好きな方はつらいかもね…。
本『キム・ジヨン』
気になってた本、やっと読めました。
本当にそうだなあと思うコラムがあったのでそれを共有。
イベント『橋本聖子さんと話そう』
話題の橋本聖子さん!
フェミニズムに関心を持ってから、フォローしていた櫻田綾乃が主催されたイベントです。仕方ないけど、Zoomで残念。直接お会いしたかったな。
30歳以下を対象としたイベントでした。
国務大臣として出席される予定でしたが、急遽国会議員として、五輪組織委員会会長としてのご出席に。
急遽立場が変わって大変な中、お話をしてくれました。
以下は当日メモしたことの抜粋。
***
第五次男女共同参画の計画には、若い声を反映している。
政治を身近なものにしていかなければならないと思っている。第四次計画までもよく考えられたものではあったが、ユースにとって身近であったか疑問だった。政治は近いということ、法案を自分たちのものと思って欲しかった。自分たちの声が政策に反映されると知って欲しかった。
政治家としての務めは、自分の信念を持つことだけではなく、違う声との接点を持ち、本当に求められていることは何か考えること。
ユースの声だけで第五次計画を作ってはどうかと提言するほど勇気づけられた。専門委員会に提出された。
大臣ではなくなったからこそ、議員として発言しやすくなった。無所属だからこそ。
(これは事務局から)パブリックコメントは送れる。議員へメールできるし、電話番号も公開している方はいるので、身近なものと考えて連絡してみてほしい。
個人的な話になるが、出産を事故扱いされた。
無理やり頑張ったことを民間企業で働く女性に非難された。あなたがやるからできると思われる。駐輪場で授乳搾乳が普通はできない。だから国民の代表であるあなたもちゃんと休むべき。
オリンピック選手がセカンドキャリアで議員を目指すことは世界的に一般的であるが、日本はまだ少ない。
女性立候補者に対して、路上演説等でも嫌がらせやヤジ、セクハラが多い。
クオーター制・理事の定員を増やすことのアイデアを橋本さんが出した。急遽会長にあり、ジェンダーバランスを取り入れなければならないと。
ユースの意見を聞いてくれる議員、アクションしてくれる議員さんはいるし、声をあげる人が増えれば議員連盟や超党派を作って、政策勉強会や調査会で推し進めていくことができる。
選択的夫婦別姓は早急に解決すべきと思っている。今まできちんと議論される場が用意されていなかった。
住んでいる地域の議員へ意見を伝えて欲しい。
全ての物事に対して諦めないで欲しい。政治に対して諦めたい人もいると思うが、政治家に不信感を持つ等、国民に選ばれた人だからこそ意見をどんどん言って、問いただし、有権者がいて有権者がある。
○感想
政治家と話すことなんてないしな〜、テーマが男女共同参画なら日頃から気にしているから少しは話せるかもな、という軽い気持ちで申し込んでいたイベントでした。直前で立場が変わり、超話題の人となった橋本さんと話すことになり面白かった。
国会で話されていることも大事だけれど、まずは市議会議員の方のことを調べてみようかなと思いました。電話するなんてハードルは高いけれど、地元の女性団体等を探して、そこを介してまたこんなイベントに参加してみたい。
最近は一人で勉強するよりも、それを共有する仲間がいて、行動していきたいと思っています。このイベントを主催した団体に連絡したんですが、なかなかレスポンスなくて悲しい。
おしまい。
本『読書する人だけがたどり着ける場所』
さくっと読めました。
本を深く読むことが重要ということを前提に、どのように読めば良いかをとにかく説明した本です。
・なぜ本を読むことが重要か
リベラルアーツが重要であることは、最近特に知られるようになってきましたが、本を読むことも教養をつけることであり、自分の専門外の本を読むべきと筆者は書きます。
例えば、遺伝子工学を学んでいる人は、その技術だけを知っていればいいのではなく、それを応用する先への倫理観が必要でしょう。専門が「遺伝子工学」でも、それを使う時には「倫理観」が必要になる。専門分野がなんであれ、この「倫理観」にあたるところあ教養です。
ちなみに・・・リベラルアーツの記事
・どんな読み方が良いか
著者は自分だったらどうかと考えながら読むことや、好きなところ3つを決めるつもりで読むこと、読んだ感想を言葉にして人に伝えることを勧めています。(このブログの元々の目的と同じ!)
・おすすめ
紹介されていた本は、たくさんあるのですが、最初の章のところだけ抜粋。
『方法序論』デカルト
『この人を見よ』ニーチェ
『饗宴』プラトン
『歴史とは何か』E・H・カー
『ファスト&スロー』ダニエル・カーネマン
読んだことのある本が紹介されていて嬉しい。他の本もこの記事を書いた後買います。難しそうなやつが並ぶ中、一つでも読んだことがあると心理的なハードルは少し下がる。別の章でホモ・デウスも紹介されてたし。
こうみると、大学1年生のこと教養として授業受けた気がするものもある。もったいないことしたなあ、もう一度大学に行きたいなあとよく思います。
後半は勢いよく読みました。
抜粋のみ載せます。
驚くべきことに驚けるのは、実は教養があるからです。知識豊富で教養豊かな人はもうあまり驚くことがないのではないかと思うかもしれませんが、逆なのですね。
これ!以前の記事で書いたこと。
知識の増え方について考えるとき、普通は10努力すれば10増える、20努力すれば20になると言うような正比例の頭をイメージするのではないでしょうか。しかし、私の感覚はそうではありません。…読書の場合も、最初の20冊30冊位は大した知識も増えていないし、読むのが大変な感じがすると思います。…ところが、ある所まで行くと突然どんどん知識が吸収できるような感覚が生まれます。知っていることが増えたので、新しい知識もスムーズに入ってくるようになるのです。
こないだ見た映画の、『花束みたいな恋をした』の麦くんみたい。そして私もそう。バランスを取るためにいろんな考え方に触れないといけないのに、ビジネス書ばっか読んでちゃダメだね。
私たちはアメリカ式の資本主義に慣れてしまっているので、「成功したい」という欲求を自然なように感じています。
とにかく良い本だったな。紹介されていた本、読み終わるまでにいくつかAmazonでポチってしまった。
おしまい。
『部長ってなんだ!』-伊藤忠元会長、さすがパワフル。そして勉強家。
普段あまりこういう本は読まないのですが、なんとなく読んでみました。
飲みの席でアドバイスいただくくらいの気持ちで。
○著者
1939年、愛知県生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。1998年、社長に就任。1999年、約4000億円の不良資産を一括処理し、翌年度の決算で同社史上最高益(当時)を記録。2004年、会長に就任。内閣府経済財政諮問会議議員、内閣府地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任し、2010年、民間企業出身では初の駐中国大使に就任。現在、公益社団法人日本中国友好協会会長、一般社団法人グローバルビジネス学会会長、福井県立大学客員教授、東京理科大学上席特任教授、伊藤忠商事名誉理事。著書に『仕事と心の流儀』『社長って何だ!』(以上、講談社現代新書)『死ぬほど読書』『人間の本性』(以上、幻冬舎新書)など多数。
(本書より引用)
○内容
下積み時代、圧倒的な努力を重ねた。仕事はもちろん土日返上、夜は接待や勉強。
定時で帰るアメリカ人は、その後家族団欒を楽しんでいると思い込んでいたが、違った。ある時エリート・サラリーマンの家を尋ねると、書斎には専門書や仕事の書類が山積みで衝撃を受けた。
インターネットの普及によって情報が手軽に入手できる時代です。しかし、それで現実を知った気になるのが一番危険です。・・・(省略)・・・すべては現場に宿る。
アメリカ赴任中から、メディアへの寄稿や講演、そして国内での連載を通じて名前が知られる。
日本では「専門を極めたスペシャリストは出世しにくい」という見方があります。・・・私は決してそうは思いません。・・・それぞれの部署が管轄する全ての業界を知らずして会社の舵取りができないとすると、経営者になど誰もなれません。・・・そもそも経営とは、実務を行うこととは異質なものです。・・・スペシャリストとしての基礎がない人間は良いジェネラリストにはなりにくいものです。
これな!!ただ、担当者のうちは担当者のやるべき役割を果たす。そのために勉強して行動する。
失敗から学ぶこと。
キャッシュフロー経営が大事。
役員会に陪席するなら、首のかかった役員より部長の方が良いことを言えるはず。
女性・外国人の活躍には時間がかかる。男ばかりで100年やってきた会社で、これからの100年かけてやっていかなければならない。
夢をもつべき。課員の頃から、自分が部長だったらこうするのに、と考える。
部長になったばかりの頃、部下のことを人事課で教えてもらった。顔と名前、社歴だけでなく、どんな上司のもとで働いてきたのか。家族構成は、子供は、親はと知り、彼らへの声かけをしていた。彼らのキャリア・人生への責任がある。
自分を磨くことの楽しさを、仕事を通じて実感できるようになるのが人生の喜びだと思います。
アイデアのもとが人とのコミニュケーションの中で生まれる話。
・・・ふっと頭に浮かぶ。それをパッと捕まえられるかどうか。・・・通り過ぎていくものをつかむのは能力ではなく、四六時中そのことについて思いを巡らせて感度を高めているかどうかにかかっています。
これがダイバーシティのメリットなんですよね。きっと。
新人時代、そして役員以外は、人生の柱が仕事になってしまうもの。そしてその時期には、周りの人たちが犠牲になることも理解しなければいけない。
ライフワークバランスという言葉には違和感があり、仕事=人生であると書いてありました。
○感想
がんばろ〜!
やっぱ成功者はみんな勉強家やな。(勉強家が必ずしも成功者ではないけど、、)
ただ、まあ自分がやってきたことを誇りに思っている、大先輩の語りだなあとも感じました。
そしてなんやかんや伊藤忠すごい。
おしまい。
『トヨトミの逆襲』-社内人事も企業活動も、政治が大事?
めちゃくちゃ今更ながら読みました。今回もとても良かった。
前作よりも陰湿な感じでしたが、最近の話なので想像しながら読めたのが楽しかった。
前作がこちら↓。前作の方が熱くて好みではありました。
○著者
梶山三郎
経済記者、覆面作家。2016年10月18日、『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』(講談社)で衝撃デビュー。同書は2019年10月、小学館文庫に。
(本書巻末より引用)
○内容
豊臣統一(豊田章男)が新社長に就任から10年が経っていた。それまでにリーマンショック、高級セダン・ゼウス(レクサス)の暴走事故、大規模なリコールとアメリカ議会による公聴会での証言等を経験していた。そして世の中はEVの時代へ。
当初ハイブリット車に力を入れていたトヨトミ(トヨタ自動車)は、マツモト自動車(マツダ)と提携しEVに本格的に取り組み始めるが、世界と比べ出遅れていた。
ドイチェファーレン(フォルクスワーゲン)はディーゼル不正のあと、ZEV開発に舵を切っていた。中国は政府としてEVに緩和政策を取り、テスラやグーグルが自動運転技術を持って市場に参入してくる等、自動車業界を取り巻く環境は大きく変わっていた。
ただし、技術的な課題は共通していた。バッテリーをたくさん積めば走行距離は増す、しかしその分高コストになる。ガソリン車と同レベルの価格で、同レベルの走行距離の車を作ることはどの会社も解決できない課題だった。
一方トヨトミの下請け企業(サプライヤー)は、EV化によってその役割を失うことを恐れていた。しかしサプライヤーのうちの一・森製作所にはEVで強い技術があった。
トップレベルの技術を持つが、規模は小さなメーカーであった森製作所は、トヨトミに不満を抱いていた。かつてプロメテウス(プリウス)の内部部品であるモーターの巻線を製作していた会社のだが、ある時彼らが作った図面を、トヨトミが盗んだからである。(受注を見越し図面をやりとりしていたにも関わらず、その図面だけを受け取り発注をしなかった。)
そんな裏切られた森製作所に、ワールドビジョンの宗正一(ソフトバンクの孫正義) が声をかける。サワダ(本田技研)と省電力モーターを使用したカーシェアの構想の一端を担わないかという打診である。トヨトミに裏切られ疑心暗鬼になっていた森製作所社長も、宋会長に説得されその依頼を受けることとなった。
EV化を進める中で、トヨトミは森製作所の技術力に頼ることを検討し始めるが、裏切りの過去があったためそううまく話は進まない。しかもその裏切りは一社員の私欲のためであった。リベート目的の、購買部長単独の判断が企業としての信頼を損ねていたのであった。
(・・・この森製作所、実在の会社を探したのですが特定できませんでした。)
また、世情は米中貿易戦争の只中。関税の掛け合いから日本を味方に取り込もうとしたのか、中国が日本企業に急接近していた。雄安新区にトヨタを引き入れようとする動きがあったり。
(雄安新区とは↓)
習主席肝いり 中国ハイテク都市「雄安新区」の実力は:日経ビジネス電子版
その動きの中で、トヨトミはワールドビジョンとの合弁会社を作る。
(実際にあるHP→MONETとは | MONET Technologies)
この会社を作った目的は何か。
ワールドビジョンの目的は、自動車メーカーとしてのノウハウを得ること。そして実際に制作することをトヨトミに担ってもらうこと。一方トヨトミ側のメリットは、米中両方にパイプを持つ宗に取り入ることであった。
会長の宗はトライブ(トランプ)大統領が最初にあった日本人である。宋にはアラジングループのジャッキー・ワン(アリババのジャックマー)の人脈があったため、そのようなことが可能だった。そんな強い人脈を世界中に持つ宗を、トヨトミは味方につける必要があった。
それはなぜか?
IoTの時代、すべてのものが軍事となる。例えば航空機が自動運航している時、ハッキングすればテロを起こせる。車も然りで、インターネットと繋がるもの全てにサイバー犯罪のリスクが生じる。それを防ぐために、当然セキュリティ基準を整備するのだが、まずは国単位でのものとなる。その自国の基準を、国際基準とできれば、その国の製品の国際競争力は高まる。政府は国を強くするため、自国が国際基準を握りたい。
その時企業はどうするかというと、「デジュール・スタンダード」、公的機関がその基準を定めるものだが、それを制することを考える。基準が定まる前に政府に取り入り、他社・他国の製品より早く基準に適したものを拡販することができるからである。安全保障と通商は一体となっているのが実情ということ。
トヨトミも、宗の人脈を使ってアメリカ政府・中国政府両方と繋がり、それぞれのデジュール・スタンダードを抑えたいと考えたのだ、と前社長の武田(奥田碩、彼の話は前作『トヨトミの野望』で。)は語る。
(TikTokの規制でOracleが云々…って話ありましたね。ファーウェイ副会長の逮捕とかも・・・。当時そのニュースをよく理解できていかなかったのですが、こういう背景を知っていくといろいろ繋がりますね。(トランプ氏、TikTokとオラクルの提携案を「承認」 データの安全性「100%保たれる」と - BBCニュース))
社内政治の話も面白かった〜。
社長の統一は、自分の意に反することを言う人をどんどん切って、ご機嫌を伺う役員ばかりで周りを固めてしまっていた。
林は若い頃から統一の信頼を勝ち得て副社長となり、統一を意のままに動かしていた。
寺内は統一の「お友達」で、Facebookに視察情報を載せるような間抜けであるのに、副社長の座についていた。
もう一人の副社長の照市は出世欲より研究者気質。しかしそんな彼が上がるのはうまくないと周りは考えている。
そして人事を握る笠原は、中国トヨトミ会長となり、林から次の社長の座を匂わされ色気を出していた。人事権を握っていたため、自分が上に行くために邪魔なものを異動させるような、私欲に塗れた配置をしていた。
また三代前の社長・武田は、顧問・相談役一斉解雇の際に権限をなくされている。統一にとって邪魔な存在であり、コーポレートガバナンスを理由にした体のいい解雇だった。(元々外国人株主らから、権限や報酬に顧問や相談役の給与や役割に透明性がないとして指摘を受けていた。)
そんな彼らの存在を、父親であり元社長をしていた豊臣新太郎に注意される。創業一族であり社長である自分にすり寄ってくる人間を信頼するなというが、統一はそれをなかなか聞き入れられずにいた。しかしあることをきっかけに、統一の目が覚め、考えがガラリと変わっていく。
名言いろいろ。
劣等感を持つ人間は権力に誠実だ。
これは本当にそう。私の上昇志向の根源は劣等感かもしれない。
トヨトミにいる限り自分だけは何があっても逃げられない。
創業一家だからこそ良い思いをすることもあるけれど、周りも自分自身も、ただのサラリーマンとは自分(豊臣統一)を見ない。その責任がこの言葉に表れているなあと思ったり。
○感想
社内政治がドロドロでした。みんな私利私欲に塗れて、ピュアな社長は彼らに騙されて(お父さんである前社長の言葉があったから気付けたけど)、そんなんで良いの?という気持ちになりました。
結局部長以下くらいが企業の売り上げとか目の前の数字のことを考えて、それ以上は社内外の政治とか、もっと広いところを見て世の中を動かしてるんかなあ。国際基準がないところを押さえていくことが大事、という話とか、まさしく政治的やもんなあ。。。
そして米中の対立に対して、企業はどうやって対応していくかというのは面白かった。
少し前に読んだスマートシティもそんな話でしたね。売り上げで戦うことを考えるのも大事、でもそもそものまず戦い方、ルールを決めるのが政治でそこを押さえていく方がもっと大事。
トヨタ関係で最近ちょうど良い記事が。
前作より登場人物の個性が薄くてつまらなかった。アツさがある人とか、迫力ある女性とかが欲しかったな・・・(これは最近買った黒革の手帖の方で楽しめばいいかな)。
あとは最近のブログについて。
毎月100PV行くようになって嬉しいです。でもまじで誰が見つけてきて読んでくれるのか…謎です。Google Analyticsとかアクセス解析とか見るけど、結局どんな人かはわからないから、本当に不思議。まああまり意識せず、自分の整理のために書いていきます。
<メモ>柳沢吉保:徳川綱吉の寵愛を受けた、自分の出世の邪魔になるものをどけた人っぽい。
おしまい。
『THE MODEL』-インサイドセールスの勉強その1
仕事に関係するので、課題図書として読みました。
○著者
福田康隆
○内容
第1部
福田さんがセールスフォースにいた頃の話。
従来の営業は顧客接点の全てを担っていた。ターゲットリスト作成からアポ取り、提案から受注まで 。それをセールスフォースでは「キャンペーン〜メールはマーケティング」「電話〜クオリファイはインサイドセールス」「提案〜受注は営業」と分けていた。そのプロセスも詳細に決まっている。工場の生産管理と似ている。それぞれ細かく決まっているので評価も明確であり、かつ段階的に部署を変わっていくため人材育成の仕組みもなっていた。
第2部
マルケトでの話。
購買プロセスの変化はかつてから変化しており、営業が接点を持つ前に買うかどうか決定しているというやつ。
顧客の中で、今はまだ買わないけど、、という人たちをリサイクルすることで、闇雲にリードの数を増やしたり、そのせいで商談化の確率を下げたりしなくて済む。
しかし分業の弊害もある。
グループに分けると敵対するため、どうやって協業させるか?
第3部
マーケティング部はオーケストラの指揮者。
初めて顧客に接するのがインサイドセールスであり、単なる商談作成の組織ではなく市場の肌感覚を掴み社内にフィードバックさせる存在。
テレアポではない。説明やヒアリングだけでなく、会社や製品への愛着、ロイヤリティ、コミットメントまで伝えられるかが肝。
進め方、そしてマネージャー側の評価の仕方も説明してありました。営業の癖をとらえるとか、評価指標とか、実務レベルで細かく。
*以下はパラパラなメモ*
リソースマネジメント
パフォーマンスマネジメント
?
以前は意思決定の序盤から営業が噛んでたけど、今はネット等の情報でかなり決めてから、営業が関与している。
また、顧客のリサイクルが大事。過去だめだったところのフォローが漏れてないか?
「人はグループにわかると敵対する。今日略せざるを得ない目標を設定せよ。」
あるある〜!
社内の分断、ありますよね!
**あと1/3くらい残ってるけど、とりあえずブログ更新してなさ過ぎたので、一旦UP**
○感想
当然なんですが、タイトルの通り概念的な話が多かったです。大事な考え方なんだけど、自分の会社で実際どう動けばいいか考えるにはヒントが少ない。なので他の本でも補っていきます。
そもそも、営業をやったことがないので、とっつきにくかったです。営業やマーケティング経験者の人だと想像しながら読めたかも。
マーケティング部が商流すべてに関わるべきというのは最近聞きますが、果たして私の勤務先は、、、というお気持ち。
ただ、最近所属部署でインサイドセールスやってみようという動きがあり、文句垂れずどうやったら意味のあるものにできるか自分で考えようと思いました。
友達にもインサイドセールスやってる人がいて驚いたのですが、自分の会社にとって新しくても(なんなら拒否感示されがちなほど)、他社にとっては当たり前になっているのかなあ。
○やること
勤務先の動きを知る。マーケティング同期と飲もうかな。
あとブログ始めて1年経ってましたね。続けられてちょっと嬉しい。もともと何かを続けることは得意だったりする(だから始める時に慎重にならなきゃいけない)。1年過ぎてアクセス数合計は1900。いい感じ。
たまにパッとアクセスが増える時があるんですが、外部からの検索で入ってきて、なんか読んじゃうなって見てくれた人がいたとかだったら嬉しいな。手間をかけず、でももっと読みやすく書くにはどうしたらいいんやろう。
まあ最近はあんまりちゃんとやろうとすると疲れるので、ゆるくほどほどにしようと思います。
おしまい。