映画『誰も知らない』-大人の責任
つくづく、子供は無力で、無責任な大人の被害者なのだと感じて悲しくなりました。
○あらすじ
仲の良い家族5人がアパートに引っ越してきます。母親と、父親の違う4人の子供たち。お金は無いながらも、楽しく明るい生活が始まります。しかし実は、子供たちは学校へ通っておらず、ご近所さんや大家さんには長男以外の子供の存在は明かしていませんでした。
生活が落ち着いて来ると、次第に母親はあまり帰ってこなくなります。お金が足りなくなり、長男が父親たちへ無心しに行きますが、皆ほとんど力になりません。
そしてある日、数万円とメモを残して、母親は完全にいなくなり、子供たち4人だけの生活が始まります。
1988年の、巣鴨子供置き去り事件をもとにした映画です。
○感想
学校に行っていないのに、役所の指摘が入らないのはなんでだろうか?と思っていたのですが、そもそも世の中に「知られていない」子供達なんですね。無戸籍児童というらしい。
この問題は未だ残っていて、ある資料を見ると、平成29年度で719人の無戸籍者がいました。そして想像ですが、この統計に乗っていない人数もたくさんいるのではないかと思われます。
参考(資料5に記載あり)
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/siryo/pdf/bo90-5.pdf
子供を産めば、自然と親になれるわけではありません。また、映画では母親は子供達を可愛がっている時もありましたが、それだけでは親の責任を果たしたとは言えません。ではどうしたら親として満足に子供を育てていると言えるのか。
最低限、ネグレクトを含む虐待を行わないこと。児童虐待のニュースはずっと目にしますが、いつも心が痛みます。虐待のリスク要因は明らかになっているようですが、あくまでも可能性の話であり予防が難しいことがわかります。
参考
そして当然産む権利を奪うことはできません。 参考
子供たちがどんな親の元に生まれても、最低限の生活ができるような、教育が受けられるような仕組みを作るのが大人の役目なんですよね。そして育てられなくなった親を支援することも必要なのだと思います。自分だって追い込まれるとどうなるかわからないのだから、自己責任だと他人を切り捨ててはいけない。…とは思うもののどうしたらいいのかわかりません。身近な友達が追い詰められてたら、声かけるくらいしか、いやそれも満足にできないかもしれない。
この映画を観ることが、自分で調べて実情を知りたいと思うきっかけになってよかったです。
おしまい
関連:
子供を虐待することの一因として、愛着障害の可能性もあるという話。