衝撃の多い三巻でした。
特に壹岐さんの妻の死、そして元上官の娘・秋津千里との恋。
【この巻で出てくる会社】
・双日
・フォード
・第一銀行(2000年に他行と合併してみずほになる)
企業ではありませんが、
・通産省
実際の出来事がベースになってると思うと、ワクワク感がすごい。
○著者
1巻で書いたので割愛。
○内容
いすゞ自動車とフォードの提携の準備が進む。
日本の自動車産業が発展し、アメリカの市場を買い始めた頃、外資が日本へ入ってこようとしていました。その一つが、フォードによる日本進出の計画。しかしそれを食い止めたい通産省と、構わず進める自動車メーカーや商社の対立と情報戦がまた面白い。
フォードは日本企業と提携したい、出資比率50%を取りたがるものの、そんなことはどの会社も許せるはずがなく、さらに通産省としても許可が下りないはず、であれば新たに合弁会社を作ればよいのではないかと話が広がります。
3巻では結論が出ず、次巻に続きます。
ここでまた登場する谷川元大佐。毎回言葉が重い。
商社で汚く染まってしまいながらも、抑留者の会へ定期的に顔を出す壹岐(モデル:伊藤忠元社長・瀬島龍三)は、いつも谷川元大佐の言葉に胸を痛めているようにみえます。
今のように物資は豊かでも、精神的な不毛の中に生きる方が、生き辛い・・・
さらに事件は起こります。
壹岐をライバル視する副社長・里井のアメリカ出張中、心臓発作が起こしてしまい、現地社長に出世していた壹岐に助けられてしまいます。里井は壹岐に貸しを作り、弱みを握られたと屈辱を覚えます。さらに大門社長も、そのような状態の里井をどう扱うか、次期社長のポストを含め考えを見直し始めます。
壹岐のプライベートも事件が多い3巻でした。特に女性絡み。
○感想
衝撃的なことが多かったな。
日本の自動車市場への、外資の進出。こういうとこに商社はバチバチ絡んでるのね、知らなかった。
主人公の壹岐がその計画をどう進めていくのか、日米メーカー両者に加えて銀行や通産省、そして社内の敵ともバランスをとりながら進めていく流れが、なんだか今やっている仕事に重なりました。
「絵を描く」っていうやつ、ストーリーの組み方や見せ方が、商社だとより大切なんだろうなあと思ったり。
健気で奥ゆかしい、軍人の妻の鑑といえるような壹岐夫人の死も衝撃でした。
十一年も夫がシベリアに抑留され、生きているかもわからなかったり、帰ってきてからも商社で忙しくしていて、その仕事の多くは語ってくれず不安になったりと苦しいことが多かったはず。それでも子供たちを育て上げ、献身的に家族に尽くし、晴れやかな舞台でも慎み深い彼女は素敵だったし、だからこそ亡くなってしまった時泣いてしまった。
そして彼女の死から数年後、元上官の娘との恋。壹岐さんの紳士的なアプローチが素敵。自制心が強い元軍人の商社マンに、情熱を込めて抱きしめられたらもうイチコロやな…と思ってしまった。
○やること
6/23までにあと2冊読まなきゃいけない。無理よ…。
読んだ期間メモ
(一)6/5~6/8 めちゃ頑張って読んだ…
(二)6/9〜6/14 案の定たるんだ
(三)6/15〜6/20 早く読まんと間に合わんと焦る
おしまい。