商社の情報戦、政治とカネ-『不毛地帯(二)』
一巻に続いて勢いで読みました。
と言っても、今回も内容が濃くて、なかなか時間がかかりました。今回は商社編!
主に登場した企業はこちら。
この本はフィクションとされていますが、実在の会社の、実際のできごとをベースにして描かれています。
【出てくる会社】
・三菱商事
・三井物産
・丸紅商事
・東日貿易
企業ではありませんが、
・防衛庁
・政界
・警視庁
三巻以降出てくる企業も多そうです。
◯著者
第一巻の方で書いたので割愛。
◯内容
商社に入り本格的に働き始めた壹岐正。この巻では、戦後日本の自衛隊用戦闘機の機種決定を巡る商戦で活躍します。
ちなみに、作品が描かれた同時期、似たような事件が起こっています。(関係がないフィクションとしているらしい。)
戦争から帰り、不慣れながらも商社に入り、そこでただ妻子を食べさせられるだけ働こうと考えていたはずの壹岐でしたが、商社でも彼の持つ参謀としての力が発揮されてしまいます。
自衛隊が持つ戦闘機をどのメーカーにするか、受注争いに巻き込まれ、国防のため良い戦闘機を採用させたいという思いと、政界各所へ根回しすることの罪悪感に揺れます。
性能・価格ともに良いラッキード社の戦闘機があるにもかかわらず、グラント社のまだ試験機しかない戦闘機を手配しようという流れがあり、しかもその裏には防衛庁内の勢力争いがあったり、他社(双日)の政界への働きかけがあったりと黒い動きがあったのです。1 千億円の商戦に勝った壹岐でしたが、その代償は大きく、かつて陸大時代の同期であった川又は憤り自殺しました。
大蔵省への、憤りの言葉。
大山の苦労を知らずして、あなた方は自分の保身、出世のみを考え・・・人を動かし、権力をふるい、政治家と結びついて利権支配のみに汲々としている、・・・
ビジネスっぽく役立ちそうなことも。
かつて参謀本部にあった壹岐が、戦線を前進させるか撤退させるか軍の作戦を立案するときに叩き込まれた思考法で、どんなに複雑でも問題点を5つ以内に要約しその裏付を取れば結論は出るというもの。なるほど。
イスラエルとシリアの、第三次中東戦争をずばり予想し事前に社内を動かしていたり、活躍がすごい。
お話の中で、デヴィ夫人のイメージの紅子さんという、綺麗な女性が出てきます。インドネシアで影響力を拡大している華僑の第二夫人ですが、彼女と各商社との関わりも多い巻でした。彼女も壹岐の情報網の一つです。
商社で思わず昇進し、活躍するなかでも壹岐は葛藤しています。
そんなところに、谷川元大佐というかつてシベリアでともに苦しんだ彼が、こんな言葉をかけます。
「壹岐くん、今度は少しは、お国のためにお役になったのか」
そして繊維会社として始まった会社を、総合商社にしようとする流れのなかで、異例の昇進を果たした壹岐は周囲との軋轢を生みます。
◯感想
『鉄の骨』でもあったけど、民間企業が政治家に献金していたり、そのお金を洗浄する流れがあったり、情報の速さが命なところとか、リアルな企業小説だから想像すると楽しい。
これは過去の話だけど、今でももちろんあるはずで、、、良いことではないんだけれど、こういうことができるひと・できる会社が強くなるのは当然だなと思っちゃいました。
◯やること
3〜5巻スピード早めていきます!
もうすでに3巻半分読んでしまってます、ブログの方が遅くなってます!
読んだ期間メモ
(一)6/5~6/8 めちゃ頑張って読んだ…
(二)6/9〜6/14 案の定たるんだ
おしまい。