みたら書く

本や映画の感想を書きます

ソ連の非道さと帝国陸軍のプライド−本『不毛地帯(一)』

 

勤め先の人たちとオンライン飲み会中、おすすめの本はなに?という話になり、山崎豊子の本いつか読もうと思ってるんですよね・・・と誰かが言いました。(酔っていて覚えていない)

 

また、小説『不毛地帯』の登場人物に、私の勤め先の人をモデルとした人がおり、これを機にみんなで読んでみましょうかとなりました。ちなみに主人公壹岐正が入社する近畿商事は、伊藤忠商事をモデルとしています。

 

600ページ×5冊を、18日間で読むことになり、実際めちゃ厳しい。別に趣味だし、その期限を守らなくてもいいのですが、逆にこの制限がないと読み切れない気がするので挑戦です。

 

 

 

◯著者

 

山崎豊子

 

1924(大正13)年、大阪市生れ。京都女子大国文科卒。毎日新聞社学芸部に勤務。当時、学芸部副部長であった井上靖のもとで記者としての訓練を受ける。勤務のかたわら小説を書き始め、‘57(昭和32)年『暖簾』を刊行。翌年、『花のれん』により直木賞を受賞。新聞社を退社して作家生活に入る。’63ねんより連載をはじめた『白い巨塔』は鋭い社会性で話題を呼んだ。『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』の戦争3部作の後、大作『沈まぬ太陽』を発表。‘91(平成3)ねん、菊池寛賞受賞。(文庫本カバーより引用)

 

 

 

◯内容

 

壹岐正(いき ただし)を主人公として、物語は進みます。

 

彼は元大本営陸軍部中佐として満州で戦い、終戦と同時にソ連により抑留され、11年間シベリアで俘虜として生き、その後に日本に帰還しています。帰還から2年後、近畿商事に採用されます。軍人としてしか生きたことのない彼は、なぜ自分が商社から求められたのかわからず困惑しますが、家族の生活のため仕事を始めます。

 

一巻では回想シーンが多く、ソ連によるとてつもなく理不尽な扱いが描かれています。

 

まず極東裁判で、ソ連側の証人として立たされること。日本国の不利にならないよう、軍の上官たちに不利にならないようにと発言に配慮はするものの、その壇上に立つことそのものが屈辱でした。日本での裁判に挑む前に、ソ連で問い詰められ、ソ連側に有利になるような(極東裁判ではアメリカ対ソ連の構図となる)証言をするよう誘導されていましたが、その屈辱は同じく証人として裁判に出る予定あった上司が自死するほどでした。数年会えていなかった家族に会うことも叶わず、裁判に出席した後またソ連へ連れ戻されます。

 

彼は強引に罪を着せられ、収容所に連れて行かれます。そのなかでソ連の思想に染まらなかったことにより、収容所で他の俘虜から暴力を振るわれ、さらに劣悪な収容所へと転々として行きます。最終的に極北の流刑地ラゾの鉱山に行き、心身ともに消耗しながら生き延び、ついには日本へ帰還します。

 

軍人としてしか生きてこなかった壹岐には、商社の仕事は全くわからず、困惑しながら仕事を始めます。(実際は国費をかけ育成された参謀としての作戦力と組織力を買われていたのでした。)ソ連にいた11年間の日本の変化、新憲法の制定や自衛隊の配備といったことを、縮小版の新聞を読んで知っていきます。

 

企業には玉砕が許されぬ

 

◯感想

 

満州のこともソ連のことも、俘虜がどんな扱いを受けたかも、何にも知らないんだなと改めて痛感。結局これも歴史への理解がないからで、年表とか出来事の表面だけを見るのではなく、こういった小説や映画といったストーリーを通して理解することを増やしていきたいです。

 

先日の『ゴヤは見た』で感じたことと一緒ですね。

 

また、たまたま仕事であるメーカーのことを調べていて、HPの社史を見ると「当社は南満洲鉄道の子会社として設立し・・・」とあり、こんな短期間でリンクすることある??と大興奮。なんでも知っていると楽しいですね。

 

 

◯やること

 

5巻まで一気読み、集中します・・・!

映像を見てイメージを具体的にしたいので、映画『杉原千畝 スギハラチウネ』も並行して観る。

 

※読んだ期間メモ

(一)6/5~6/8 めちゃ頑張って読んだ…

 

 

おしまい。

 

 

不毛地帯(一) (新潮文庫)

不毛地帯(一) (新潮文庫)