みたら書く

本や映画の感想を書きます

イベント『真のリベラルアーツ:今後の日本が生き残るために必要となる教育』ーものごとをコネクションするための鍛錬

 

外出自粛で退屈なゴールデンウィーク中、ネットでうろうろしていて見つけたイベントです。社会人になってからたまに耳にするようになった「リベラルアーツ」。一体なによ、と思いながらも勉強できていなかったので、今回イベントに参加してみました。(オンラインイベントが増えたのは、この外出自粛の状況下、怪我の功名だと思います。)

 

◯登壇者

 

 武内隆明

 

(タイガーモブHPより引用)

 

 1961年生。父の仕事の関係で小学校はフィリピン。中学・高校は東京で、大学はマサチューセッツ州にある、全米屈指のリベラルアーツカレッジであるWilliams Collegeを卒業。その後、野村證券国際調査部、ゴールドマン・サックス・アセットマネジメントなどを経て、チューリッヒ・スカダー・インベストメンツ副社長、プルデンシャル・ファイナンシャル・アドバイザーズ証券の社長を歴任。2003年に独立。東京で投資会社、上海で経営コンサルタント会社を起業。2012年からは教育業界のNPO法人Teach for Japanや、International College of Liberal Arts(iCLA) の立ち上げをサポート。ライフワークとして、アジアの若者へのリベラルアーツ教育に取り組んでいる。他にも日本におけるユニークな高校や大学および金融機関等を特別顧問や客員教授としてお手伝いしている。

 

ものすごく早口でパワフルな方でした。

 

 

 

◯内容

 

リベラルアーツとは

 

ギリシャ・ローマからルネサンスにかけて始まり、17世紀エリート教育に発展。文法学、論理学、修辞学、幾何学、数論、天文学、音楽の7つの学問を扱う。

リベラルアーツ・カレッジは17世紀ごろ作られたものも多く、2000人程度の生徒が在籍する。西海岸に位置するものが多い。卒業生はオバマレーガン孫正義、津田梅子、クラーク博士等日本にゆかりある人もいる。

 

 

 

リベラルアーツの目的

 

人が持てるものには「知識」「知恵」「生まれつきのもの」がある。

「知識」は1万時間程度勉強すればある程度言語習得できるというように、 比較的簡単に身につくもの。しかしある場面でしか使えない。例えば日本語を勉強しても、日本語を話せる人との間でしか使えない。

「生まれつきのもの」これは生理的なもの(性別とか人種とか)や気質で変えにくい。

「知恵」こそがリベラルアーツ。知識と生まれつきのものとの間にあり、知識をいかせるようになる鍛錬のことである。なにかを知っていても、それをうまく活用するためには質の高いOS=人間力?が必要になる。

 

リベラルアーツが目指すもの

「チャレンジ精神、課題発見力、主体性、実行力・継続力、熱意、意欲、柔軟性、ストレスコントロール力、コミュニケーション能力、協調性、倫理的思考力」の向上。

これらの能力・知恵を身につけて活用できるまでになる鍛錬をする必要がある。この意識せずに使えるようになる鍛錬=武道や茶道、花道といった「道」を極めるようなもの。

 

 

リベラルアーツ教育

 

現在のリベラルアーツ教育は「社会科学」「自然科学」「人文芸術」「保健体育」「ワークショップ」のそれぞれを学び、それらをいかに繋げるかをトレーニングするもの。一般的に理系と文系とどっちもやる学部でしょう、と言われるけれど、それは誤解である。

 

上記の能力を身につけた上で、左脳と右脳をコネクションするトレーニングをする。

左脳:「定量推論」論理的、緑線的、構造的、規則性、固定的、講義。

右脳:「人文教養」非論理的、芸術的、非線的、非構造的、起業家的、柔軟、ワークショップ

このコネクションが発揮され、大きな結果を残した例を示す。

アルバート・アインシュタイン:物理学×音楽

相対性理論は直感的方法によって発想された。そして、音楽はこの直感を支える原動力だ。私の新たな発見は音楽的知覚の結果なのだ。」

スティーブ・ジョブス:カリグラフィ×エンジニア

「人は私がクリエイティブだという。もしそうであるとしたら、それは、私がたくさんの「点」を持っていて、どのようにそれらを繋げるのかを知っている、ということだろう。」

本庶佑:医学・生物学×オーケストラ経験

レオナルド・ダ・ヴィンチ:絵画以外の工学や解剖学等多岐にわたる活躍

山中伸弥:医学×スポーツ(ラグビー柔道)

 

異なるテーマが繋がることはあり、例えばダンスと音楽なら親和性が高いが、生物学と音楽がどう繋がるのか。この一見親和性のないところに価値が生まれるようにするのが人であり、発想することは人工知能にとって変わられないはず。その発想する力を引き出さすのがリベラルアーツである。

世界平和へのアプローチにはかつて経済学が強かったけれども、実際は音楽(ジョンレノン・イマジン)や芸術(ピカソゲルニカ)が大衆へ影響したり、生物学的に男女の喧嘩を分析したりとやり方は多い。現在注目されるSDGsについても、環境化学のみならず、東洋哲学からアプローチする方法だってあるのだ。

 

その多角的なアプローチがあることを忘れないようにしなければならない。固定観念に縛られず自由に発想するには、異国の文化に触れたり、たくさんの人の本を読んだり、意識的に視点を広げることが重要。

 

例えば、以下の文字を読めるか。

f:id:mari1410:20200516114953j:plain

(出典:読める?読めない?「幻視」を防ぐ「白地文字」読みに挑戦!/脳トレ | 毎日が発見ネット

 

 

 

・グローバル競争への心構えと

中国深センの発展。中国のシリコンバレーと言われるITの聖地であり、20、30代が6割、起業数世界一、街全体がキャッシュレス社会で、社会インフラのIT化も進んでいる。

そんな背景がある年都市では、企業が「多産多死」。人口が多い分チャレンジする人が多く、ハングリーさがある。そのハングリーさは自信・自己肯定感の高さにより支えられている。(これは日本人の弱いところ。出る杭は打たれる、自信を潰そうとしてくる文化。完璧主義でチャレンジしにくい環境。)そんな状況下であるのに、危機感どころか中途半端な知的優越感を感じている。

 

こちらの本でも扱われてましたね。

 

途中でジョークが。日本のPDCAは「Plan,Delay,Cancel,Apologize.」

 

投資家的な目線で見ると日本は着実に人口減少するし(世界各国と比べでダントツ。世界全体は2060年までに人口が30%以上増加するのに、日本は30%以上。)、そうなるとマーケットが縮小、チャレンジする人が減り、スピードが遅くなる。GDPは中国・インドがブチ抜いて足元にも及ばなくなる。

PwC、調査レポート「2050年の世界」を発表し、主要国のGDPを予測‐2020年以降、中国の成長は大幅に鈍化するものの、世界の経済力の新興国へのシフトは止まらず | PwC Japanグループ

 

 

 

・その他質疑、雑談

八ヶ岳連峰作戦:8割の出来のものをたくさん持つ。一つのことで百万分の1は目ざしにくい。技術革新はもっとスピードをあげて進む。

インフィニティ国際学院おすすめ。高校性に海外で修羅馬をくぐらせる。

もちろん読書と旅行でも異文化経験はできるけれど、その旅行先のことを勉強してから行った方がいい(世界の歩き方2、3回読んでから行くらしい)。

おすすめの本「ライカでグッドバイ」「コロナショック・サバイバル」「貞観政要(中国古典の教訓)」

芸術・いま流行のテーマ・昔から言われている古典のような本というのをバランスよく読むのがいい。

メンターはひとだけじゃない。本や映画もある。相談に乗ってもらわなくても、あのひとならどう考えるかなと考える人がいたらいい。

コロナでも震災でも新しい課題がドンドン出てくる。リベラルアーツで自分の頭で考える力をつけよう。「(出来ごとの)新しさの本質を洞察して、歴史的な法則を当てはめて、想像力を使って前進する。」

社長になれば自由だと思っていたけれど、自由さやリーダーの意味って国によって違うことがわかった。例えば日本はアメリカ的なのでひっぱって行く人、ドイツでは独裁者のような危険なイメージがあったり。いいビジネスマンはいいリスナー。

 

 

 

◯感想

 

なんとなく教養って大事だよな、リベラルアーツってそういうやつだよな・・・と思っていたのですが、セミナーを聞いて誤解していたところは修正され、なぜリベラルアーツが必要なのか、どうやっていかすものなのかを理解できました。話題としての教養ではなく、そこから着想を得たり、新たな視点にしたり、現在を歴史の一部と捉えたり。

私は頭が凝りかたまっていて、ものごと一つ一つに線を引いて分けてしまいがちなのですが、もっと横断的に考えられるようにトレーニングしなきゃなあと焦りました。たくさんのものごとを見て知っていくだけでも、考え方は広がっていくし、自然と知識をつなげていけるものなのだろうか。

 

また、ただ広く浅く学んでもあまり意味がないよなとも最近感じています。やっぱりパワフルで優秀なひとって、興味を持って深堀していっている気がする。努力は夢中に勝てないと言うけれど、いちいち夢中になれる体力・精神力のトレーニングも私に必要なものの一つだなと思いました。やっぱ座禅?

 

 

◯やること

 

・オンラインでの交流

今回の講演はPeatixというサービスで見つけました。外出自粛が続く中、オンラインでの機会が増えていて、これを活かさないわけにはいかない。

セミナーでも、Web面談でも、双方向のコミュニケーションが取れるものを選んでいこうと思います。(動画視聴は満足感があるものの、理解度が浅くなる気がしていて少し苦手です。)インプットした気になって、頭でっかちになって、その割に語れはしないという状態にならないように、アウトプットする場に出て行こう。

 

・並行読書を続ける

バランスよく。音楽美術に精通する人はかっこいいよなーと、「トヨトミの野望」を読んでも、会社の大先輩と話しても思ったので、ちょこっとずつでも勉強します。いっきにまとめ本読むより、ひとつひとつが深堀してある本にしよう。

 

・英語の勉強

数日前から始めましたが、中学英語からやりなおしています。ひとつの言語しか使わないということは、2つのリスクがあると考えるようになってきました。この気付きは構造主義の本を読んだ影響をうけてのもの。

情報源が限られて一方向からしかものごとを知ることができなくなるリスクと、 その文化圏特有のものごとの見方に縛られてしまうというリスク、他国の言語を学ぶことで少しでも減らせるといいなー。

 

 

 

 おしまい。