みたら書く

本や映画の感想を書きます

本『寝ながら学べる構造主義』-先人に学ぶ

 

先日見た映画に出ていた、内田樹さんの著書。映画の中ですごく興奮して喋ってる人で、なんかおもしろそうだなあと勢いで買ったけど、当たりでした。

 

(先日見た映画↓)

 

最近のマイブーム、「思想」についてすごくわかりやすい言葉で書いてあります。(意思を持つとか思想とか、サピエンス全史読んだ頃から自分の中で流行ってる。)

ただ、いまいち思想とイデオロギーの違いがわからずにいたりします。

 

 

 

○内容

 

構造主義

私たちは常にある時代・場所・社会集団に属し、その条件が私たちのものの見方・感じ方・考え方を基本的なところで決定する、という考え方を構造主義という。

私たちは自律的に判断し行動していると思い込んでいるが、実際はその属するところの受け入れているものだけを、無意識に選択している。だから時代や場所によって、人の考え方は異なる。1920年頃から始まった考え方。

 

 

以下①〜④は構造主義のみならず学術的方法の枠全体のベースを作った。

 

 

ヘーゲルマルクス

人間は行動を通じて何かを作り出し、その創作物を媒介にして自身の本質を見てとるという人間観。自身が自由に考えているつもりでも、実は階級的に思考している。

関係性の中で作り出された意味や価値によって、自身を知ることができる。(関係性をつくること=生産活動=労働と考える。)

 

 

サルトル

実存主義。「実存は本質に先行する」

根が良い人でもが悪事を働いてばかりいたら、その人は悪い人でしょう、ということ。

 

 

フロイト

人間は自身がどういうふうに思考しているか知らない。私たちは意識がすることが苦痛であるような心的活動からは、無意識に目を逸らし抑圧する。「なにを意識したくないか」を意識できない。

 

 

ニーチェ

過去のある時代における感受性や感覚は、「いま」を基準にもっていては把持できない。資料的基礎づけと想像力と知性が必要。(系譜学的思想)

大衆嫌いを含めて、フーコーに受け継がれる。

 

 

ソシュール構造主義の父〉

「名前がつくことで、或る概念が私たちの思考の中に存在するようになる」

母国語を喋るだけで、その地域の概念をその価値体系のなかに取り込まれる。記号という術語を定義した。

 

 

1940〜1960年代にかけて、言語学以外の分野にも構造主義が展開したが、とりわけ影響の大きな4人が以下。「構造主義四銃士」。

 

〈1.フーコー

自我中心主義、「いま・ここ・私」を中心とする人間主義というものがあるが、「いま」に至るまで歴史が予定調和的に、過去の出来事から現在までが一直線に進んできたとフーコーは考えない。沢山の可能性が、道の分岐があったが、それは無視され、私たちは今から振り返って後ろにある過去だけを見ているという。

…これ、サピエンス全史にも書いていましたね。歴史とは生き残ったものからしか語られない。だから敗者の歴史は消えていく。

 

フーコーは人間活動を分類し標準化しようとする「権力」を批判していた。例えば狂人はかつて崇拝されていたのに、いまでは「標準ではない」と排除される。軍隊の行進は身体的な標準化を通して、精神まで標準化しようとしている。

 

ただ、その標準と定義されるものは、ある時代・場所のもので、変わっていくものである。

 

 

〈2.バルト〉 

ソシュールは、人間が何かの意図を持って作った言葉を記号(signe)と定義しました。記号とは人為的な意味を持たせたもので、象徴とは異なります。

 

バルトはソシュールの予言した記号学を展開。ある言語で話すと、その言語に依存した価値体系に取り込まれるというソシュールの考えがありますが、そこには二つの規則があります。

 

1.ラング(langue):ある共同体で使われる言語。

 

2.スティル(style):個人的に好きな言葉の速さや音感、グラフィックや比喩といった言語感覚。

 

バルトはこの二つに加えて、第三の規制を発見する。

 

3.エクリチュール(écriture):選ぶことのできる語法。それぞれの語法には予断や偏見が含まれ、型をもつ。例えば「おじさんのエクリチュール」なら現状肯定的でありながら愚痴っぽい。とか。

 

〈3.レヴィ=ストロース

〈4.ラカン

力尽きたので割愛。難しいよ…。

 

 

 

 

○感想

 

よくビジネス書なんかにのっている話がたくさん出てきて、そういえばあれは先人の言葉の焼き回しだったんだなあと気付きました。例えば鳥の目虫の目、ジョハリの窓、言葉にできることしか認識できない、、とか。

 

思春期の葛藤をしている時期に、こういう思想家達の本と出会いたかったな。思想について論理的に簡潔に書いてあるのでわかりやすいし、たくさんの思想家の言葉をまとめてあるので、一種類に偏らない見方ができるような気がするし。もしこの先そういう時期の子と話すようなことがあれば、この本をあげようと思いました。

大人になって、自分の考え方を持つようになってから読むのも、それはそれでいいですけど。ぼんやり考えてたことが、先人の言葉で整理されていく感覚がありました。ただラスト二人は難しかった。

 

ニーチェフーコーの論を読んでいる時に、平野啓一郎さんの小説を思い出しました。過去を思い出すとき、今経験したことをもって振り返ることしかできないのは寂しい、というような言葉。

 

人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えられてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。

 

 

 

 

○やること

 

めっちゃ面白かったので、内田樹さんの本をもう一冊読みます。思想やイデオロギーがわかるものにする。

 

 

おしまい。