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本『女性のいない民主主義』-ジェンダーを考えるという不利益

今月3/8は国際女性デーでしたね。

パラパラとネットで調べてみても、いまいち理解できていない『フェミニズム』。全くわからない、さらに興味も薄い『政治』。

今回はこの二つが整理された本を読みました。

 

ただ、どちらも苦手分野過ぎてうまく整理できませんでした。感情的になっちゃうし。

 

 

○内容

 

政治初心者に優しい内容でした。まずジェンダー関係無しに各章で政治の仕組みと歴史を説明し、その次に女性の立場はどう捉えられていたのかが続けられます。

 

1.政治とはなにか

 

政治とは公共の利益を追求するものであり、政治の基礎となるのは話し合いである。その話し合いの場には、共同体の構成員となる様々な立場の人が参加すべきであるのに、一部に偏っているのはなぜか。(一部はつまり男性のこと。)

 

1970年代以降、伝統的な左右対立に収まらない新たな争点が浮上した。原子力等不確実な科学技術、地球温暖化等の環境問題、フェミニズム運動による伝統的な性別役割分業への異議申し立て、移民は多文化主義を拡大したが反動から極右化する人々も生まれた。

これらの争点は、これまでなかった技術や環境の変化、内戦に伴う難民の発生等の「変化」を起点とするもの。しかしジェンダーに関してはかつての方が不平等であり問題だった。なぜ今になって浮上したといわれるのか?

答えは、新たに問題として起こったのではなく、女性が声を上げ始め、それが世の中に広がった結果、認識されるようになったから。それまで認識していなかった男性政治家にとっては、女性が突然声を上げ、男性が享受してきた特権を奪い始めたという「変化」は、男性の多い政治の世界において環境問題と同等の「問題」と言える。

 

以下抜粋。

「争点の範囲を限定する政治制度は、男性支配を維持する役割を果たす」

「(要約)マスメディアが有権者の意見を変化させることは少ないが、ある争点へ注目させたり、モノの見方を偏らせるという見解がある。それに対してSNSの台頭はジェンダーの争点化を強く促した。」

 

 

2.民主主義とはなにか

シュンペーターによる定義・・・

「民主主義とは政治指導者が競争的な選挙を通じて選ばれる政治体制を指す。これに対して、競争的な選挙が行なわれない国を、権威主義体制あるいは独裁体制と呼ぶ。」

これはつまり、選挙というエリートの競争を肯定している。

 

 

3.政策は誰のものか

男性首相が男女不平等を語る時、それ自身ではなく別の目的を解決する手段として、女性の利益向上を政策とする。

例えば今の自民党。「女性活躍」のスローガンには、選択の機会が増える喜びはあるものの、利用されているという違和感も感じてしまいます。

 

 

4.誰が、どのように政治家になるのか

マーガレット・サッチャー、ドイツのメルケル首相、台湾の蔡英文総統は野党から返り咲いている。これは野党は票を得るために女性を登用しているから。野党が女性比率を上げることで、与党もそれに対抗して女性登用をする。しかし日本では、野党が女性を増やさず、よって与党も対応していなかった。

メモ…1986年社会党土井たか子、マドンナブーム。

 

 

 

○感想

 

フェミニズムを理解する目的で買ってみたのですが、思いの外政治についての理解が深まりました。初心者だからかもしれない。

この本は対象を対比させることによって、理解を促してくれています。例えば、権威主義と民主主義。なんか聞いたことあるけどよくわかってないことが少しだけわかったような。

でもやっぱり難しい。。。

 

家庭レベル、社会レベルでの性別による役割分担についての章を読んでいる時に、あることを思い出しました。

それは、「『誰に食わせてもらってるんだ』と言われたのが嫌だった。」という母の愚痴を、小さい頃聞いていたこと。私はそんなこと言われたくないと思ったのが、自立したいと考えたきっかけだったかもしれません。これも構造の問題で、家庭内の分業が進む仕組みがあったから起こったことです。

時代によって価値観は当然変わるし、それに適応することはおかしくない。決められたルールの中でうまく振る舞うことが、短期的には、自身にとっては得になることは多いです。しかし大志を持ってそのルールに異議を唱え、理想を叶えた先人たちがいるから、今の自由があるわけで、その先人たちの努力を無駄にしないためにも、そのルールに疑問を抱くことを忘れないようにしたいです。

 

 

フェミニズムの歴史〉

 

18世紀以前:上流階級を除いて、男女関係なく農工商業に携わっていた。

 

18世紀半ば〜19世紀:産業革命。家庭内分業。(外で働く男性と専業主婦。)

 

19世紀半ば〜21世紀前半:第一派フェミニズム。女性の財産権や参政権を求める運動が各国で行われる。※日本では1945年に参政権が認められる。(遅くてびっくり。) 

 

1960年代:第二波フェミニズム。女性参政権導入後も解消されない男性支配への異議申し立て。ウーマン・リブ活動。人工妊娠中絶を制限する優生保護法改定の抗議。

 

1990年代:第三波フェミニズム

 

現在:第四波フェミニズム

 

流れをザッとを書きましたが、全然詳細は理解していません。今後もう何冊か本を読んでみます。

 

 

 

○おまけ

 

世の中の変化や、男女の役割に苦しむ人の記事等。

 

◎コーヒーに見る世の中の変化

 

◎子供を生む後悔

「母親ではなく父親になりたかった」という言葉が出てきます。

男性は自分で生まずとも、自分の遺伝子を残せるけれど、女性は自分の体で生まなければなりません。それにより自身の活動が抑制されることになります。(代理出産等さまざまな科学技術が発達していますが、まだあまり一般的ではないですね。)

 

夫婦別姓の問題。今年2月、サイボウズ青野社長が東京地裁で敗訴しています。

 

ジェンダーバイアスを助長させる

 

 

◎子育て

怖いんですよね、育った環境に影響される、ズレや違和感。

 

 

◎これ!まじで!本質!!と思ったら記事。

『もし世の中がジェンダーバイアスのない場所だったなら、それだけの時間を私は自分が好きなことの追求や、もっと多くの作品を生み出すことに注げたのに』。

女性であるだけで、ジェンダー問題に時間を取られるという実際的な不利益がある。

 

 

最近しっくりきた言葉。

「考えなくても問題なく生きられるのは、あなたが差別する側だからです。」

あなたジェンダー問題好きだよね!と言われたことがあるのですが、好きではないのよ。差別される側だから考えざるを得ないんです。

 

 

○やること

 

今回調べていくなかで、引っ掛かったのが「大正デモクラシー」の言葉。懐かしい響きですね、歴史の授業で習ったやつ…。興味を持ったので、調べてみようと思います。

あとはなぜ女性の利益となるものは議員立法が多いのか?そもそも議員立法とは?という疑問を持ったので、そこを調べたいと思います。

 

おしまい。

 

女性のいない民主主義 (岩波新書)

女性のいない民主主義 (岩波新書)

 

 

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