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本『センスは知識からはじまる』-やっぱりアウトプットの前にインプットが必要

もらった本です。自分で選ぶと趣味が偏りがちなので、もらったり借りたりすると目線を変えられて良い。

 

 

○内容

 

「学んで活かす」これは美術を含む全てのことに当てはまります。歴史に詳しい、とは言いますが歴史が上手い、とは言いませんよね。学問としての美術にも「上手」なんてないのです。学生の頃、学問と実技とごちゃ混ぜにされていたから、勘違いが生まれているだけ。

 

センスというのは、物事の背景を知り、理解をしたうえで応用するスキルのことであり、才能のことではありません。知識をつけるために学び、それを活かすことができれば、その人はセンスがあると言えるのです。

 

著者は時代によって求められる力は変わり、今は企業にもセンスが求められている、と書いています。これまでは技術や勤勉さが評価されていましたが、センスでそれを活かすタイミングが来ていると。時代が交互に来るという考え方は面白かったです。

例として「アーツ・アンド・クラフツ運動」。生活と芸術を統一させようという活動です。18世紀半ば、イギリスでは産業革命により、大量生産の安かろう悪かろうな品があふれました。その中でウイリアム・モリスは手仕事に戻ろうとしたり、質の高いインテリア製品を量産したりとした。(壁紙が有名ですね。)このように一気に技術が伸びて、伸びが緩やかになる頃に、センスの時代が来るそう。

 

 

また、お客さんに意見を求めることは、可能性を潰すことになります。例えばiPhoneを全く知らない人に、これどうですか?と聞くのは無意味でしょう。市場調査から始める商品開発も同じですね。

 

 

○感想

 

学問としての美術に、上手い下手はないというのが腑に落ちました。音楽も同じで、上手に演奏できる(実技)ことと、その作家のことや時代背景を知っている(学問)ことの両方が大切だったと思い出しました。学がないと上手く演奏するというのもできないし。

 

また、理念を具現化する力がセンスなのかなと思いました。

常々思っている、「知識があれば世界の解像度が上がる」というのに加えて、「知識がなければ良いものは作れない」という意識が持てました。ただ、知識を貯めていっても使わなければ忘れていくばかりなので、もうちょっとアウトプットの練習をしたいな。このブログもその場の一つとして活かそう。

 

 

今仕事で新しい商品を作ろうとしています。まさしく市場調査だのマーケティングだのと、外側から考えていましたが、この本によると、自分がいいと思うものを起点にすることでよりクリエイティブになれるのではないか思えました。ただやっぱり、知識量が絶対的に足りない。センスの良いものを作ろうと思うなら、やっぱりもっとインプットしなきゃですね。社内のことも、市場のことも、技術も資金も営業のことも。。

手当たり次第に学ぼうとしていますが、それぞれ浅くなるばかりで、一極集中して専門を強くしていくべきなのかなと悩みます。でも大学生の頃、専門家にはならないと考えて、大学院に進まないことを決めたことを思い出してしまいます。その頃の考えから変わっていません。やっぱりまだ専門的にはならない方向でやっていこうと思います。その分広く学んでいかなきゃですね。

 

 

おしまい

 

センスは知識からはじまる

センスは知識からはじまる