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本『アフターデジタル』-考え方をシフトする

2ヶ月近く、簿記の勉強に集中するためにブログをお休みしてました。(簿記はボロボロなので4ヶ月後再チャレンジする。)

 

○内容

「アナログな世界の一部がデジタル化するのではなくて、これからはデジタルな世界の中にアナログな機会が内包される。」

これがこの本のタイトル、アフターデジタルの意味です。今までは買い物しにお店に来ていた人がアプリを使っていたけれど、これからはオンラインで買い物する人がたまに店舗に来てくれる、といった逆転現象が起こるというようなイメージ。

 

章ごとにメモ。

 

1.事例

中国企業、特にスタートアップについて書かれていました。日本よりもキャッシュレス化が進んでいたり、うまくデータ活用をしていたりするよう。顧客の行動データを集めるためには、体験品質を高くすることと、それを長く顧客に寄り添わせることが必要になります。

 

「消費はモノからコトへ」と言われて長いですが、この「コト」を一過性のものとせず、継続的にデータを取ることを目指すのが、これからのデジタル時代になります。

 

2.学ぶべき視点

OMO(online-merge-offline)、この言葉がこの本の核です。オンラインが起点であり、リアルチャネルは深いコミュニケーションができる貴重な機会という考え方。オンラインとオフラインを分ける必要もない。インターネットも店舗もどちらもただのインターフェースという点で同じなのです。

 

オフラインがなくなり、すべての行動や思考がデータとして抽出されるようになりつつある今、現実がRPGゲームのように思えます。例えば信頼スコア。

日本では悪い面ばかり取り上げられているようです。

 

日本企業は、まだオフラインがベースにあり、オプション的にデジタル化させようという考えにとどまっているようです。しかしこれからはオンラインが起点となり、データを取って活用していくことがビジネスの基本となっていきます。その仕組み(=エコシステム)を作るために、既存のビジネスを再構築する必要があります。

 

3.既存概念を捉え直す

この章がすごく面白かった!

 

無人レジの本当の価値は何か?という話題。

決済は本来やりたくない作業であり、お客が求めているのはモノを得ること・サービスを得ることのみです。だから顔認識のデジタル決済や無人レジには意味があります。顧客は本当に欲しいモノ・サービスにのみ集中することができ、売り手もそこにリソースを当てることができるから。さらにデータ活用すれば個別対応をより深めることができ、よいサービス(=顧客体験)を繰り返せるため、さらにデータを集め続けられるというサイクルを生みます。

 

また、ものづくりの話題も。

ものづくりの視点では、顧客のニーズを理解し個別に高速に反応出来るプレイヤーが強くなります。例えば中国・深センにはものづくりをするために必要な設備や会社が集約されていますが、そこでは今までの「長い歴史と技術」が脅かされるほど、ものづくりの参入障壁が下がっています。そんな場所で素早く顧客ニーズを拾って、製品化されてしまったら?製造設備や研究設備を持っていても、動きの遅い会社は淘汰されていくのではないかと思ってしまいますね。

 

 

4.日本企業の変革

3章までのまとめ。日本企業はどうしていくか?

 

産業構造ヒエラルキーが変わり、データインフラが強くなり、顧客IDと繋がるプラットフォーマーが強くなります。そこを目指せばOKというわけではなくて、構造が変わる中でポジショニングどうするかを考える必要があります。

 

また、商品は顧客との接点の一つと考え、「顧客と繋がりデータを取り続けること」にビジネスの価値を置くようになります。前後の店舗での接触や、デジタルでの接触と同等のの機会であり、全ての接点を増やし、データを継続的に取ることが、次の顧客へ提供する価値をブラッシュアップしていくことに繋がります。

 

○感想

 

中国の例がたくさんあり、先に進んでいるのがよくわかりました。ただ単純にその成功例を自分の勤め先で活かせるとは考えにくい。さらに職業柄自分自身が顧客と触れることが少ないので、良質な顧客体験がなにか?想像できませんでした。 ぼんやりと思えたのは、今オフラインで顧客に多く接触していることは、今後オンラインが幅を利かせるようになったときに、強みになるのかなということ。足繁く通うとか、泥臭くやるというのは、アフターデジタルの中でより光るかもしれない。

理解しきれないところも多かったので、BtoB企業のデジタル活用が書かれている具体例を読みたいなと思いました。

 

また、なるほど面白い!となったのは、国地域によるデータへの考え方の違い。

EUでは個人のデータを私有財産と考え、守ろうと考えられています。それに対して中国は中央主権で、国民はデータを国へ提供する、国はそれを活用する、国民はその恩恵を受ける、という考えがあるというのです。

この考え方の違いって面白くて、根っこには文化の違いがあるんですよね。最近中国大好きマンと知り合って、国ごとに思想は違うし、それを理解できると面白いんだと知りました。今後はそういう文化論的な本も読んでみたい。

 

 

おしまい

 

 

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

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