みたら書く

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映画『愛がなんだ』-無自覚に人を傷付ける

小説が原作の映画です。 

知人と一緒に見ました。

鑑賞後感想を言い合うと、お互い解釈が違うところがあって面白かった。

 

◯あらすじ

 

テルちゃんはマモちゃんが好き。

連絡が来ればいつでも飛んでいきます。

しかし呼ばれて行っても酷い扱いを受けるし、付き合うことはできません。まぁ所謂セフレ。

 

ある時マモちゃんの気まぐれで、デートしたり、好きに部屋に出入りできたり、恋人のように過ごすことができました。

その状況がしばらく続き、これって付き合ってるのでは?と、テルちゃんは思い込みました。明確に付き合おうとは言われていません。なのに、大人の恋はこんな風になんとなく始まるもんだ〜なんて言っちゃう。

 

テルちゃんはマモちゃんと過ごす時間を優先するあまり、仕事をクビになってしまいました。

それでもマモちゃんと居られるだけで幸せなので、構いません。

 

しかし突然、マモちゃんに好きな人ができてしまい、連絡が来なくなってしまいました。

その相手はスミレさん。タバコも吸うしお酒で肌荒れしてる、汚い言葉を使う。テルちゃんとは真逆のタイプでした。

ただ、スミレさんはマモちゃんのことが好きではなく、その恋も叶わなさそうです。

 

スミレさんに相手にされず、寂しいマモちゃんは、テルちゃんの好意を無自覚に利用します。また都合のいい女にされてしまいます。

 

それでも、連絡がなくなったあの頃よりはマシ。テルちゃんは、そう思いながら関係を続けます。

 

それなのに、テルちゃんの友達が、マモちゃんを怒ってしまいます。都合よくテルちゃんを扱わないでほしいと伝えます。

マモちゃんはその時初めて、テルちゃんを傷つけていたと気付き、反省し、もう会わないと決めます。

 

しかしそんなことはテルちゃんの望むことではありません。どんな形であれ、マモちゃんと会えるだけで良い。好きだから。いや本当は、もう好きかもわからないけれど、執着しているから。

 

会わないなんて言わないで、と笑いながらテルちゃんは言います。

マモちゃんのことは好きじゃないし、傷付くなんて勘違いしないでよ。今度男友達でも紹介してよ、なんて言います。

 

マモちゃんはホッとします。今後も友達として付き合っていけると思います。そして、テルちゃんに男友達を紹介するところで、映画は終わります。

 

 

 

◯感想

 

愛がなんだ、っていうよりも、恋ってなんだ?と考えさせられました。

 

誰かに恋して、憧れて、執着する。その人になりたいとさえ思う。なぜそんなに想ってしまうのか、理由はわからない。ずっと主人公は考えていました。

 

私はそんな風に人を想えたことがなくて、主人公が羨ましかったです。

なによりも自分が一番大切です。誰かに恋しても、叶わなさそうであれば諦めてしまいます。自分が雑に扱われるなんてもってのほかです。恋でも愛でも、自己犠牲は不要なはずです。しかしそんな理性を吹き飛ばして恋できるなんて、やはり羨ましい。

 

映画『蜜蜂と遠雷』でも感じましたが、なにかを好きでい続けるのは難しいです。

 

対象が人の気持ちのように揺らぐものでなれば、裏切られることはありません。(努力して必ず報われるわけではありませんが)

しかし恋愛では、対象は人であり、裏切られたり利用されたりすることがあります。

そんな不安定なものを好きでい続けて、正気でいられるはずがありません。少しずつ狂ってしまい、最初にあった純粋な恋心を、執着心に変えてしまうことになるのではないでしょうか。

 

 

また、自分を傷つける人から離れるのって、難しいなと感じました。

主人公が恋した相手は、自分勝手に振る舞い、無自覚に主人公を傷付けます。自分の欲を果たすために、主人公を利用します。

 

無自覚に人の行為を利用するのは、自覚しているよりひどいですよね。相手はわかってないから逃がしてくれないし、自分の意思で逃げなければいけない。でも好きだから逃げられず、更に傷ついていく。

 

映画の中では、同じように叶わない恋をしている友人が登場します。その友人は、ボロボロになり途中で恋を諦めます。

 

諦めた友人と、諦めず執着し続ける主人公とを比べると、それぞれ恋の仕方が違うのかなと思いました。自分を大事にする人は、諦められる。そうでない人は諦められない。この辺は愛着障害の話と関係するかなと思いました。

 

 

映画では友人達のストーリーも細かく描かれていて、本より好きでした。演技は少し残念でしたが…。「てかさ」「まじ」のような、少し古い言葉の使い方をしていて、いまいち集中できませんでした。文章だと気にならないけれど、言葉だと棒読み感がありますね。

 

ただ主人公がめちゃめちゃ可愛いくて、いちゃつくシーンなんてたまらないので、是非そこを見所にして、映画を観てほしいなと思います。

 

おしまい

 

 

 

◯原作

 

愛がなんだ (角川文庫)

愛がなんだ (角川文庫)